福井県勝山市北谷町の前期白亜紀の地層(約1億2000万年前)から、新種3種を含むゴキブリ類の化石が5種類見つかったと、県立恐竜博物館が発表した。国内の白亜紀の地層から複数種が見つかるのは初めて。同博物館は「北半球でのゴキブリ類の進化を知る重要な手がかりになる」としている。(桑田睦子)
化石は10点あり、いずれも背中を覆う
翅
(はね)「
前翅
(ぜんし)」(最大縦15・4ミリ、横6・2ミリ)。恐竜化石が多数見つかっている「手取層群北谷層」で行われた2014~15年の発掘調査で3種類、約300メートル北の地層から1種類が発見され、同博物館と九州大、県立大で共同研究を実施。09年に発掘された化石からも1種類見つかった。
前翅の形状や模様、筋状の
翅脈
(しみゃく)の枝分かれの状況などを調べ、3種類が新種と判明。甲虫のような硬い翅を持つペトロプテリクス属の新種は、福井に由来する「ペトロプテリクス・フクイエンシス」の学名が付いた。他の2種は、「プラエブラッテエラ・インエクスペクタ」「プラエブラッテエラ・アーキュアタ」と命名。14年の発見まで、恐竜発掘現場からは昆虫化石は見つからないと思われていたため、最初に見つけた新種は、予期しないを意味するラテン語「インエクスペクタ」を付けた。
現在も生息するオオゴキブリ科の仲間「モルフナ属」とみられる化石もあったが、保存状態が悪く、属を確定できなかった。モルフナ属の最古の化石は約6600万~5500万年前のもので、今後の調査次第で、最古の記録を約6000万年遡り、進化史を変える可能性もあるという。
また、北谷層のゴキブリ類の化石は、地理的に近い東アジア(中国、北朝鮮)よりも、乾燥していた北アジア(モンゴル、ロシア)と似ていることもわかった。
同博物館の湯川弘一研究員は、「恐竜王国の足元にはゴキブリ王国が広がっていた。恐竜やそれ以外の生物が生きていた環境の解明や復元につながるかもしれない」と期待する。
研究成果をまとめた論文は、9月にドイツの国際学術雑誌の電子版に掲載された。化石は今月1日から同博物館で展示されている。