平井卓也の弟が社長「四国新聞」の“身内びいき”がすご過ぎる…「香川1区」対抗馬の“吊し上げ方” 《もうすぐ衆院選》

選挙が近づいてきた。新聞各紙もザワザワしています。では今いちばん面白い新聞は何だろう?
私は“選挙前の四国新聞”をおススメします。香川県の地元紙。押さえておきたいポイントは、四国新聞は平井卓也議員の弟が社長、母が社主を務めるファミリー企業ということ。なんかもうワクワクしてきませんか?
ドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』(大島新監督 2020年)では、2017年の総選挙が描かれていた。印象深かったのは四国新聞の報道だった。香川1区で平井卓也の対立候補である小川淳也には厳しいが、平井のことは「地域貢献に汗流す」という見出しで報じるなど「家族の後押し」を感じられる報道スタイルだった。
デジタル大臣に就任したが…
あれから4年。選挙がまたやってくる。四国新聞も張り切る季節だが、実は今年はすでに全開なのだ。平井氏が初代デジタル大臣に就任したからである。そう、ファミリーから大臣が出た!
デジタル庁発足翌日(9月2日)は笑顔の平井先生の『国民目線で改革 透明、公正、迅速に』というインタビューを一面に。四国新聞はお祭り状態でテンション高め。連日にわたって大きく報道していた。
しかし、最近の紙面をのぞいてみると……。
『「次の時代つくって」平井氏がデジタル相退任』(10月6日)
え?
平井先生が花束を受け取り、手を振っている。辞めちゃったの?
9日の紙面では「格差ないデジタル社会願う」という平井氏の退任インタビューが載っていた。「既得権益との闘い続く」と。まるで悪と闘い続けたヒーローである。
わずか1か月で退任。何があった?
ここで素朴な疑問が浮かぶ。四国新聞しか読んでいない人の中には、あれだけ紙面で推されていた平井氏がなぜわずか1か月で退任したのかよくわからない人もいるのでは? しかも平井氏は岸田派であり、岸田氏が総理になったのだから大臣の座は盤石なはず。一体何があった?
香川県の皆さま、実はこの1か月、デジタル庁の不祥事が次々に大きく報道されていたのです。
同じ地方紙を見てみよう。
『デジタル庁、平井氏同席 接待3回、次官処分』(大分合同新聞9月25日)
この手の不祥事が各紙で報じられていた。しかし平井氏のファミリー企業・四国新聞はハズキルーペがないとわからないくらい小さな扱いだったのだ。いわゆるベタ記事。
それだけではない。『平井デジタル相が出席の会議、音声データ保存せず 私文書扱いに』(毎日新聞WEB9月16日)というスクープも各紙は後追いしたが四国新聞は紙面で報じていなかった。ちょっと衝撃的だった。ファミリー政治家のまずい話題は小さく扱うか、報じない。
その一方で香川の皆さんは次の記事は覚えていることだろう。7日の社会面にデカデカと掲載されていた記事。
『「小川議員主役」映画上映 県教委「不適切」と謝罪 高松の高校世界史授業 公選法違反恐れ』(四国新聞10月7日)
四コマ漫画の隣だからいちばん目立つスペースだ。抜粋する。
《高松市の県立高校で7~9月、立憲民主党の小川淳也衆院議員(比例四国)を取り上げた映画を、3年生の世界史の授業中に見せていたことが6日分かった。18歳の生徒は選挙権を得ており、小川氏が出馬を予定している次期衆院選も間近に控えている。同映画は、映画監督自らが「小川氏が主人公」と話しており、教育基本法が定める政治的中立を逸脱する不適切な教材に当たるとして、県教委は事態を重視。学校は生徒だけでなく、5日には保護者説明会を開いて直接謝罪する異例の対応を取ったほか、上映した30代の男性教諭への処分を検討している。》
四国新聞、激おこです。
他紙はどう報じたか。たとえば読売新聞は『候補予定者の実録映画上映 衆院選 高松の県立高3年授業で』(10月6日)。
社会面で他の記事と同じくらいのスペースで、「衆院選に出馬を表明している特定の衆院議員のドキュメンタリー映画」と書いていた。
これと比べると四国新聞が「小川」「小川」と何回も小川氏の名前を前面に出していることがわかる。まるで小川氏を叱っているようにも錯覚する。
四国新聞は“戦闘モード全開”
でも、なんと言っても読みどころはあの四国新聞に「政治的中立を逸脱する」とか「政治的中立を欠いた」という言葉が載っていることだった。いつも激烈な平井推しなのに最高すぎる。
面白かったのは、10月10日の四国新聞に載った、時事通信との合同世論調査の結果だ。
『立民県議の「新聞社排除発言」 7割「問題ある」 立民支持者も6割強』 これは何かといえば、今年3月、立憲民主党の香川県連幹事長だった県議が、県の新たな新型コロナウイルス対策について議案発表前に報じた新聞社を「排除したらいい」などと発言した件だ。ここでいう「新聞社」は四国新聞のこと。
この件は県外にも届いたようで、東京新聞でも報じられた。
《5月1日の四国新聞の一面には、選挙で平井さんと議席を争う立民県連会長の小川淳也衆院議員の謝罪コメントが載った。他党の県議は「衆院選ののろしが上がったと感じた」と語る。》(6月17日)
春の騒動を選挙前の世論調査できちんと堀り返す、四国新聞の丁寧な報道。政治家の脅しは許してはならないという意志を感じる。あ、そういえばNECに対して「徹底的に干す」「脅しておいて」と言っていた初代デジタル大臣もいたような……。
四国新聞は「家族の後押し」を感じられる報道スタイルだと書いたが、ここまでくると「家族総出でやりますんで」という戦闘モードが伝わってくる。選挙期間中はどんな報道をするのか見逃せない。全国からの注視をおススメしたい。香川県民だけが読むのはもったいない。
ここまでは「香川1区」でしたが、先週は「東京8区」も目立った。
れいわ新選組の山本太郎代表が東京8区から出馬すると表明したからだ。自民党の石原伸晃氏の選挙区でもある。
しかし東京8区が注目されているのは、それだけが理由ではない。
《ただ、同区には、野党共闘を呼びかける「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)を介して、れいわが共通政策を結ぶ立憲、共産両党がそれぞれ候補者を擁立している。両党間では、立憲新顔の吉田晴美氏に一本化する方向で調整が進んでいたため、困惑が広がる。》(朝日新聞デジタル10月8日)
つまり「野党共闘とは?」も大きな論議となってしまったのである。
ここでどうしても考えてしまうのは石原伸晃氏の政界再編力である。
私は以前から「日本の政界を動かしているのは石原伸晃」説を唱えている(ただし本人の意図していないところで)。
例を挙げよう。
・2012年の自民党総裁選。当初本命とも言われたのは石原伸晃。しかし失言などで失速。その結果、第2次安倍政権誕生。
・そのあと父親の石原慎太郎(東京都知事)が国政復帰を表明。伸晃がピリッとしないから(?)第三極の波が起きた。
・2012年の衆院選では俳優の山本太郎が石原伸晃のいる東京8区から出馬。その1年後に山本氏は政界入り。
・2016年の東京都知事選は小池百合子が立候補。自民党東京都連にケンカを売った。当時の都連会長は石原伸晃。
石原伸晃の政界再編力、今回は?
見てわかるように、この10年の政界を動かしているのは石原伸晃さんなのです。ただし本人の意図していないところで。
するとまた激変が。山本太郎が11日に東京8区からの出馬の取り止めを発表。つまりこうなった。
・2021年衆院選で東京8区をめぐり、野党共闘について注目が集まる。←NEW
これでますます東京8区は見逃せなくなった。石原伸晃の政局力って本当に凄い。本人の意図しないところで!
(プチ鹿島)