調布陥没 トンネル真上以外も広範囲で地盤に緩み 専門家が指摘

東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事の直上にあたる調布市東つつじケ丘の住宅街で道路が陥没した事故で、芝浦工業大の稲積真哉教授(地盤工学)は13日、周辺を独自に地盤調査した結果、工事後にトンネル直上以外の広範囲で、地盤が緩んだ可能性があると明らかにした。
トンネル工事は東日本高速道路が地下47メートルで、円筒系の掘削機「シールドマシン」(直径16メートル)で進めていたが、昨年10月に陥没事故が起きた。その後もトンネル直上で相次いで空洞が発見された。
同社などの有識者委員会は、土を柔らかくする薬剤が地盤に浸透し、シールドマシンが過剰に土砂を取り込みすぎたことが原因と公表。同社はトンネル直上以外に緩みは起きていないとし、地盤補修の対象外だった。
稲積教授は住民から相談を受け、9月下旬に簡易的な地盤調査を実施。主にトンネル直上以外の4地点で、地下5メートルまでの表層部分を対象とした。その結果、4地点全てで地盤の強度を示す「N値」が低いことが判明。数年前のデータが残っていた1カ所で比較したところ、N値が低下していた。また、地盤の内部を撮影すると、多数の「空隙(くうげき)(隙間(すきま))」が確認された。空隙は空洞や陥没になる恐れがあるという。
稲積教授は工事前のデータが少ないため「推測の域は出ない」と前置きした上で、「元々、軟弱だった地盤が(シールド)工事の振動でさらに軟弱化したと考えられる」と指摘。「事業者は早急に補修範囲を再検討すべきだ。工事を再開する際にも振動の影響を考慮に入れる必要がある」とした。
自宅敷地内の地盤調査を依頼した調布市若葉町1の河村晴子さんは「(東日本高速道路は)地盤を再調査し、住民の安全のため補修してほしい」と訴える。自宅はトンネルの直上から約20メートル離れているが、工事が始まった後、自宅の壁にひびが入るなど約150カ所が損傷したという。稲積教授によると、振動が引き起こした可能性が高いという。
東日本高速道路の小畠徹社長は15日、事故後初めて調布市役所を訪れ、長友貴樹市長に陥没事故の対応状況などを説明した。冒頭、小畠社長は「専門家の独自調査は承知している。どういった調査を実施していくべきか検討状況がまとまり次第、報告させていただく」と話した。長友市長は「地域住民は今も大きな不安を抱えながら生活している。事故を二度と起こさない決意で再発防止に向けた対策を徹底し、市民の理解と信頼の回復に尽くしてほしい」と求めた。【島袋太輔】