東京の地域政党・都民ファーストの会が国政進出に向けて設立した「ファーストの会」が、衆院選からの撤退を決めた。公示が早まり、候補者擁立が間に合わなかったことを理由に挙げている。都民ファの今回の動きを、特別顧問の小池百合子都知事は距離を置いて見ていたとされ、都民ファ内部からも「無謀な判断だった」と執行部への批判の声が上がっている。
「今回は見送ったが、また来たるべき選挙に向けて、しっかり頑張っていく」。都民ファとファーストの会の代表を務める荒木千陽都議は15日夕、衆院選への候補者擁立を断念した経緯について説明を求めた報道陣に、こう語った。
荒木代表は今月3日、都心のホテルで記者会見を開き、華々しく新党設立を発表した。一方、今回の擁立断念については、「都民の期待に沿う戦いは難しいと判断した」などと記した文書1枚を配布しただけ。報道陣からの記者会見の開催要請にも応じなかった。都民ファの関係者は「国政を目指す党の代表として、説明しないという態度はどうなのか。何かしらのけじめをつけなければ、国政選など目指すべきではない」と切り捨てた。
2017年の都議選(定数127)で、都民ファは初陣ながら自民党を上回り、第1党の座についた。以降、都民ファ内には国政進出を望む声がくすぶり続けた。その声は、今年7月の都議選で劣勢との下馬評を覆し、第1党の自民党(33議席)に迫る31議席を得て第2党に踏みとどまったことで、さらに大きくなった。複数の関係者によると、9月頃には所属する都議ら15人ほどが、国政進出を提言する文書を荒木代表に出し、ファーストの会設立の流れができたという。
ただ、衆院選の投開票が当初見込みよりも早まったことなどから、公募による候補者擁立作業や他党との連携は混乱。頼みの綱の小池知事も「国政には関知しない」と静観する構えを崩さず、知事は周辺にも「(都民ファは)自分たちだけで選挙を戦うつもりだ」と発言。ファーストの会の勢いは急速に落ちた。
都民ファ内では「都議選から3か月余り。都政を軽んじるべきではない」と、国政進出に否定的な意見も多い。都議の一人は「全ての面で準備が足りなかった。時期尚早だった」と話した。