【国家の流儀】米軍以外も続々味方に…中国に対峙、日本の「防衛外交」 共同訓練など、インド太平洋の平和と繁栄を守るための「4つの柱」

衆院選は19日公示される。解散から投開票(31日)までが、わずか17日間という「戦後最短の短期決戦」では、新型コロナウイルス対策や経済対策に加え、国民の生命と財産を守り抜く外交・安全保障政策も極めて重要な争点だ。北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させ、中国が軍事的覇権拡大を進めるなか、どの政党、どの候補者が適切な危機感を持ち、現実的な政策を打ち出しているのか。岸田文雄首相(自民党総裁)や、立憲民主党の枝野幸男代表ら与野党党首に覚悟はあるのか。日本が進める「防衛外交」について、評論家の江崎道朗氏が解説する。 ◇ 戦後、日本の同盟国は米国だけであった。 ところが、気がついたらオーストラリアが準同盟国となり、9月24日には、日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」の初めての対面による首脳会合が、米ワシントンで開催された。 10月に入ると、沖縄近海で日本と米国、英国を中心に、オランダやカナダ、ニュージーランドの海軍も参加した大規模な合同演習が実施された。あれよ、あれよという間に「日本の味方」が増えているのだ。 この味方を増やす対外戦略を「自由で開かれたインド太平洋」構想という。2016年8月、安倍晋三首相(当時)が、ケニアで開催された第6回アフリカ開発会議の基調演説において提唱したものだ。 いまやインド太平洋地域は、世界人口の半数を擁し、世界経済の牽引(けんいん)役となっている。この地域の安定的で、自律的な発展を実現するため、日本は「3つの原則」を提唱している。 第1が、法の支配、航行の自由、自由貿易などの普及・定着だ。 第2が、経済的繁栄の追求だ。 第3が、平和と安定の確保だ。 この3原則に基づいて、インド太平洋地域を発展させていこうというのだ。それは言い換えれば、この3原則に反する言動を繰り返している中国や北朝鮮などと対峙(たいじ)する方針を打ち出したということだ。 画期的であったのは、防衛省・自衛隊もこの構想推進を担当する、としたことだ。 戦後、外交は外務省の専権事項であった。経済大国になるにつれ、大蔵省(現・財務省)や、通産省(現・経産省)も対外折衝に関与するようになっていくが、海外派遣を禁じられていた自衛隊だけは蚊帳の外であった。 しかし、第2次安倍政権のもと、特定秘密保護法や平和安保法制が制定され、米軍以外との軍事協力が可能になった。そこで防衛省・自衛隊もインド太平洋構想を担うべく、海外に行くようになったのだ。
衆院選は19日公示される。解散から投開票(31日)までが、わずか17日間という「戦後最短の短期決戦」では、新型コロナウイルス対策や経済対策に加え、国民の生命と財産を守り抜く外交・安全保障政策も極めて重要な争点だ。北朝鮮が核・ミサイル開発を加速させ、中国が軍事的覇権拡大を進めるなか、どの政党、どの候補者が適切な危機感を持ち、現実的な政策を打ち出しているのか。岸田文雄首相(自民党総裁)や、立憲民主党の枝野幸男代表ら与野党党首に覚悟はあるのか。日本が進める「防衛外交」について、評論家の江崎道朗氏が解説する。

戦後、日本の同盟国は米国だけであった。
ところが、気がついたらオーストラリアが準同盟国となり、9月24日には、日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」の初めての対面による首脳会合が、米ワシントンで開催された。
10月に入ると、沖縄近海で日本と米国、英国を中心に、オランダやカナダ、ニュージーランドの海軍も参加した大規模な合同演習が実施された。あれよ、あれよという間に「日本の味方」が増えているのだ。
この味方を増やす対外戦略を「自由で開かれたインド太平洋」構想という。2016年8月、安倍晋三首相(当時)が、ケニアで開催された第6回アフリカ開発会議の基調演説において提唱したものだ。
いまやインド太平洋地域は、世界人口の半数を擁し、世界経済の牽引(けんいん)役となっている。この地域の安定的で、自律的な発展を実現するため、日本は「3つの原則」を提唱している。
第1が、法の支配、航行の自由、自由貿易などの普及・定着だ。
第2が、経済的繁栄の追求だ。
第3が、平和と安定の確保だ。
この3原則に基づいて、インド太平洋地域を発展させていこうというのだ。それは言い換えれば、この3原則に反する言動を繰り返している中国や北朝鮮などと対峙(たいじ)する方針を打ち出したということだ。
画期的であったのは、防衛省・自衛隊もこの構想推進を担当する、としたことだ。
戦後、外交は外務省の専権事項であった。経済大国になるにつれ、大蔵省(現・財務省)や、通産省(現・経産省)も対外折衝に関与するようになっていくが、海外派遣を禁じられていた自衛隊だけは蚊帳の外であった。
しかし、第2次安倍政権のもと、特定秘密保護法や平和安保法制が制定され、米軍以外との軍事協力が可能になった。そこで防衛省・自衛隊もインド太平洋構想を担うべく、海外に行くようになったのだ。