東京都調布市内を走行していた京王線の特急電車内にいた乗客17人が重軽傷を負った事件で、殺人未遂容疑で逮捕された住所・職業不詳、服部恭太容疑者(24)が「約1カ月前に上京し、電車に人がたくさん乗っているハロウィーンの日を狙おうと思った」と供述していることが捜査関係者への取材で判明した。警視庁調布署捜査本部は仕事や友人関係が原因で自暴自棄になり、計画的に事件を起こしたとみて調べている。
捜査関係者によると、服部容疑者は「6月ごろに仕事でトラブルがあってやめた。友人ともうまくいかず、人を殺して死刑になりたいと考えた」と説明。住んでいた福岡県を6月に離れ、神戸市や名古屋市を転々とした後、事件の約1カ月前から東京都八王子市のビジネスホテルに宿泊していた。凶器のナイフ(刃渡り約30センチ)は「誰かを殺すためにネットで買った」という。火をつける際に使用したライター用オイルも事前に購入していた。2人以上殺すつもりだったといい、「計画通りいかず悔しい」と話しているという。
逮捕容疑は10月31日午後8時ごろ、布田―国領間を走行中の京王八王子発新宿行きの上り特急電車(10両編成)の3号車(前から8両目)で、座席に座っていた都内に住む男性会社員(72)に殺虫スプレーを噴射した後、ナイフで右胸を刺し、殺害しようとしたとしている。男性は意識不明の重体だが、一命は取り留めたとみられる。
服部容疑者はその後、5号車(同6両目)に移り、2リットルペットボトルに入れたライター用オイルとみられる液体をまいて火を放ったという。「スプレーをかけて火を拡散させようとした」という趣旨の供述もしている。車内で火災が発生し、中学生を含む10~60代の男女16人が煙を吸うなどして軽傷を負った。
また、服部容疑者が「(8月に起きた)小田急線の事件を参考にし(駅間が長い)特急を狙った。サラダ油で火がつかなかったから、ライター用オイルでやった」と供述していることも明らかになった。8月6日に小田急小田原線の快速急行内で乗客10人が重軽傷を負った事件では、殺人未遂容疑などで逮捕された男性容疑者が快速急行を狙った理由を「途中で乗客が降りられないから」と説明。車内でサラダ油をまいて火をつけようとしたが着火できなかった。
渋谷駅で下車、30分くらいうろつく
駅の防犯カメラ映像などから服部容疑者の事件前の行動も判明した。31日午後5時ごろに京王八王子駅から京王線に乗り、同6時ごろに京王井の頭線渋谷駅の改札を出た後、同6時40分ごろに再び同駅から乗車。明大前駅で下りの京王線に乗り換え、事件直前の午後7時54分に調布駅から上りの特急電車に乗ったという。渋谷駅で下車した理由は「ハロウィーンを見たくて、30分間くらいうろうろした」と説明しているという。
事件当時は映画バットマンシリーズに登場する「ジョーカー」に似た服装をしており、「ジョーカーにあこがれ、事件のために服を買った」と供述している。
服部容疑者は少年時代、福岡市博多区の団地で暮らしていたとみられる。同容疑者を知る高齢女性は「高校生くらいまでは姿を見たが、普通の子だった。事件を起こしたと聞いてびっくりしている」と話した。【最上和喜、鈴木拓也、浅野孝仁】