朝日新聞大阪本社の経済部に所属する男性記者(33)が、10月6日に自殺し、その直後に経済部長が異例の人事で異動していたことが、「週刊文春」の取材でわかった。
亡くなったのは、朝日新聞大阪経済部のキャップを務めていた竹岡正貴記者(仮名)。2011年に入社した11年目の記者だった。
竹岡記者が亡くなった当日の夜8時半から、朝日新聞では、東京、大阪など全国の経済部員約70名がオンラインで参加する臨時部会が開かれた。部員には約1時間前に突然開催が伝えられ、東京経済部長を務める伊藤裕香子氏が中心になって説明がなされた。
「その日の朝に竹岡記者が亡くなったことが伝えられました。ただ、死因などについてはまったく伝えられなかった」(出席者)
その場で伊藤部長はこう発言したという。
「故人のプライバシーに配慮し、説明は控えます」
「この件は口外しないようにして下さい」
参加した部員は困惑の色を隠せなかった。さらに、
「部長が『悩みがあったら相談してください』と言ったので、メンタルだったのかな? と思いましたね。不可解な説明ぶりに皆驚き、誰も質問することすらできませんでした」(前出・出席者)
直後、大阪経済部では異常事態を加速させる動きが起きた。
竹岡記者の上司に異例の人事異動
「竹岡記者の上司に当たる大阪経済部長の渡辺知二氏が出社しなくなったのです。そこで、東京と大阪の経済部長を歴任した東京本社のゼネラルマネージャーが急遽職務を代行することになり、大阪に来た。その後、11月1日付けで渡辺氏が、突如、論説委員になる異例の人事異動が行われた」(朝日関係者)
28日の取締役会の承認から、4日後の異動という極めて異例の人事だった。
実は亡くなる直前、伊藤部長や渡辺部長が竹岡記者と電話で話をしていたという。
「精神的に追い詰められた様子を受け『病院に連れて行った方がいい』という話は共有されていた」(大阪経済部関係者)
朝日新聞社広報部はこう回答した。
「前途ある有望な社員を失ったことは痛恨の極みであり、心からご冥福をお祈りしています。(略)現時点までの調査では、労働時間や休日取得の記録には特異な点はありませんが、勤務実態などについてはなお調査を続けていきます。
また、当該部長が11月1日付で大阪在勤の論説委員に異動となったことは事実です」
異動と竹岡記者の自殺が関係しているかの質問については、回答しなかった。
11月2日(火)16時配信の「 週刊文春 電子版 」および11月4日(木)発売の「週刊文春」では、自死の直前に竹岡氏が遺していた“上層部批判”ととれるツイッターや、上司との取材や記事執筆を巡るやり取りなどについて、3ページにわたって報じている。
【悩みを抱えた時の相談窓口】
「日本いのちの電話」 ▽ナビダイヤル「0570-783-556」午前10時~午後10時 ▽フリーダイヤル「0120-783-556」 毎日:午後4時~午後9時、毎月10日:午前8時~翌日午前8時 東京自殺防止センター(電話相談可能) https://www.befrienders-jpn.org
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年11月11日号)