物流大手の佐川急便の男性社員(当時39歳)が6月に自殺したのは、上司2人からの度重なるパワーハラスメントが原因だったと、遺族側の代理人弁護士が4日、明らかにした。遺族側は労災申請の手続きを進め、会社側に補償を要求する方針だ。
東京都内で記者会見した代理人の川人博弁護士によると、自殺したのは同社の東京都内の営業所に勤務する係長で、ドライバーの管理を担当していた。2020年6月ごろから社員が出席する朝礼などで、課長2人から仕事上のミスに対して再三、叱責されていたという。
今年4月には「(課長2人が)場所を問わず部下を大声で怒鳴りつけている」などとする匿名の内部通報があったが、会社は2人と他の課長にヒアリングしただけで、その時点でパワハラは認定されなかった。
男性は今年6月23日に勤務先で自殺した。前日には電話で課長から「俺はうそつくやつとは一緒に仕事できねえんだよ」などと言われ、その後も課長席の前で40分以上、立たされたまま厳しい叱責を受けたという。帰宅した男性は妻に「仕事がキャパ(容量)オーバーだし、明日からどうしよう」「仕事に行きたくない」などと訴えていた。自殺直後、男性の携帯電話の検索履歴には「人間のキャパ」という検索ワードが残されていた。
男性の死後、外部機関も入れて会社側が調査した結果、課長2人からのパワハラが認められ、本村正秀社長が9月、遺族に直接謝罪した。妻は弁護士を通じて「どんなに謝罪されても夫は帰ってこない。会社には、遺族や従業員に対し誠実な対応を望む」とのコメントを出した。
川人弁護士は「日本を代表する大企業で、いまだに怒鳴る、威嚇する、不利益を告知して脅すといった時代錯誤の管理・指導手法が横行していたことに警鐘を鳴らす必要がある」としている。同社は「ご遺族の皆様に深くおわび申し上げるとともに、今後、誠実にご対応させていただく」とする文書を遺族に提出している。【小鍜冶孝志】
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