東京都調布市を走行中の京王線車内で17人が重軽傷を負った事件で、職業不詳の服部恭太容疑者(24)(殺人未遂容疑で逮捕)が6月頃、職場のコールセンターの退職を決めた直後に凶器のナイフを購入していたことが捜査関係者への取材でわかった。会社から配置転換を打診され、不満を募らせていたという。
捜査関係者によると、服部容疑者は約3年前から福岡市にある大手携帯電話会社の関連会社のコールセンターで通信機材の営業販売を担当していた。ところが、今年5月に顧客からクレームを受け、会社から配置転換を打診されると、翌月頃に退職を決めた。
この直後、通販サイトで刃渡り約30センチのサバイバルナイフを購入した。退社後、地元を離れて神戸市へ。9月は名古屋市で過ごし、同月末に東京都八王子市のビジネスホテルに入った。
この間、消費者金融で借金を重ね、同ホテルでは1か月分の宿泊費計13万4000円を一括で支払った。逮捕後、「死刑になるつもりだったので、借金は返していない」と供述した。
台東区上野の専門店でライター用オイル(355ミリ・リットル)10缶を購入するなどして事件を準備。当日の10月31日はナイフに加え、ペットボトル5本に詰め替えたオイル約4リットル、火が消えにくいライター5個、可燃性の殺虫剤5本をリュックに詰めて現場に向かった。
上り特急電車に乗車後、ナイフを取り出したことを乗客男性(72)に注意されたとみられ、この男性に殺虫剤を吹きかけ、右胸をナイフで刺したとされる。その後、車内にオイルをまいて着火、殺虫剤で火勢を拡大させ、他の乗客16人が煙を吸うなどして搬送された。
中学時代は「物静か」
地元・福岡の元同級生の男性(25)らによると、服部容疑者は中学では陸上部で、「いつも教室の隅にいるような物静かなタイプ」。休み時間は教室で絵を描いていることが多かった。
母親と妹と3人で暮らし、料理や買い物をして家族を支えた。県立高校を卒業後、インターネットカフェの店員や介護ヘルパーとして働いた。成人式は黒髪に黒縁眼鏡で、おとなしい印象は変わらなかった。
だが、事件当日は金髪で、米国映画バットマンシリーズの悪役「ジョーカー」に
扮
(ふん) した。社会に恨みを持って大量殺人を企てるキャラクターで、逮捕後の調べに「人をやっつけるところに憧れた」と供述した。
事件後、電車内の座席に足を組んで座り、悠然とたばこをふかす姿がSNSで拡散された。元同級生の男性は「以前の姿からは想像もできない。何があったのか」といぶかしんだ。