知床半島のヒグマ、常食は「セミの幼虫」…好物の草はエゾシカに奪われる

北海道知床半島のヒグマはこの20年で、セミの幼虫を常食するようになったとする論文を、北海道大の研究者らがまとめ、米国の生態学専門誌「エコロジー」に発表した。フンを分析した結果から結論づけた。
ヒグマは雑食性で、禁猟などで増えたエゾシカに、好物のフキやセリなどの草を先に食べられたためとみられる。道内各地で問題となっているエゾシカ増加の影響が、ヒグマの採食行動からも裏付けられた格好だ。
研究については、北大大学院博士課程3年の富田幹次さんが調べ、日浦勉・東京大教授(森林生態学)と論文をまとめた。
富田さんは、知床半島の斜里町で2018年5~7月、ヒグマのフン60個を調べ、何を食べたかを分析。1985年夏頃に他の研究者が56個を調べた結果と比べた。その結果、フンに混じる餌の割合として、草は93%から49%に減少。85年頃にはフンに混じっていなかったコエゾゼミの幼虫が、18年には14%も占めるようになった。幼虫を食べることは、2000年頃には知られていた。
カラマツの人工林に設置したカメラには、幼虫を食べるために母グマが子グマと地面を掘る様子が写っていた。富田さんは「コエゾゼミは明るい人工林を産卵場所に選ぶ習性がある。地中浅くにいた幼虫を捕食したのだろう」と話している。