「火事です」と走ってくる乗客、「こんなに身近な場所で起きるとは」…九州新幹線放火未遂

走行中の電車内でまた、事件が起きた。熊本県内を走っていた九州新幹線で8日朝に発生した放火未遂事件。先月末には東京都内で、走行中の京王線の電車内で殺人未遂事件が起きたばかりで、車内は騒然となった。
JR九州によると、車両が停止したのは、新八代駅手前の宇城市。煙があがった3号車に車掌が駆けつけ、放火しようとしたとみられる三宅潔容疑者(69)を発見し、乗客らと取り押さえた。現場付近の通路側シートの下部が焦げていたという。
車内には乗客141人がおり、3号車には約30人がいた。5号車にいたという佐賀県鳥栖市の女性(65)は鹿児島中央駅(鹿児島市)に到着後、「突然、前の車両から何人かが『火事です』と言いながら走ってきた。車掌から『後ろに逃げてください』と言われて避難した。あとで放火だと知って、とても怖くなった」と話した。逃げてきた人たちからは煙のにおいがしたという。
車両はその後、運行に支障がないとして、発車させ、午前9時に新八代駅に到着。熊本県警に三宅容疑者の身柄を引き渡し、同9時40分頃に運行を再開し、同10時25分頃に鹿児島中央駅に到着したという。
八代署からの連絡を受けた八代広域消防本部は10月に東京の京王線で発生した刺傷事件を念頭に、火災発生からの多数傷病者発生を視野に態勢を整え、消防車3台、指揮車、救急車、救助工作車1台ずつ計6台を出動させ、消防士15人が駆けつけた。担当者は「東京のケースが頭をよぎったが結果としては、けが人もなく、そう言う意味では一安心した」と話した。
新八代駅から新幹線に乗る予定だった八代市の70歳代女性は「東京の事件をニュースで知って、どこでも起きうると思っていたが、こんなに身近な場所で起きるとは……」と驚いていた。山口県から帰省していた娘の見送りに来ていた八代市の男性(85)は「娘が同じ車両に乗り合わせていたらと思うと、ぞっとする」と硬い表情で語った。
相次ぐ電車内放火 死者も

電車内で乗客が火を放つといった事件は最近相次いでいる。10月31日、東京都調布市を走行中の京王線特急電車で、男が乗客男性の右胸をナイフで刺し、ライター用オイルを車内にまいて放火。男性が重体となったほか、乗客16人が煙を吸うなどして軽傷を負った。
8月6日には、東京都世田谷区を走っていた小田急線快速急行電車内で、男が刃物を振り回して暴れ、乗客10人が重軽傷を負った。男はサラダ油を床にまいてライターで火をつけたが、燃え広がらなかった。
2015年6月には、神奈川県内を走行中の東海道新幹線で男が焼身自殺を図り、巻き添えになった女性1人が死亡、20人以上が重軽傷を負った。この事件も踏まえ、鉄道各社は16年にガソリンなどの可燃性液体の車内持ち込みを禁じた。