「コシヒカリしかない」発言の川勝知事「途方もない誤解に」…謝罪や撤回はせず

静岡県の川勝知事は9日、参院静岡選挙区補欠選挙の応援演説で「(御殿場市には)コシヒカリしかない。ただ、飯だけ食ってそれで農業だと思っている」などとやゆする発言をしたことについて、臨時の記者会見を開き、「市民をやゆする意図はない」などと釈明した。
謝罪や発言の撤回はしなかったことから、県議会の自民改革会議などの県議49人が知事に抗議文を提出。御殿場市の勝又正美市長が「市民の心の傷は消えない」と述べるなど、批判の声が相次いだ。
川勝知事は9日の記者会見で、「(対立候補の)元市長に対し、県民の代表たり得ないと言ったことが切り取られ、御殿場の地位を傷つけるという途方もない誤解になった」と述べ、発言の趣旨が誤解されていると主張した。その上で、「誤解を生んだ私に責任がある」と語った。謝罪する意思があるかを問われると、「選挙における論戦だ。(候補だった)元市長に向けたもので、市民の方は念頭にない」などと繰り返し、謝罪や撤回はしなかった。
知事の会見などを受けて、県議67人のうち、自民会派のほか、公明党県議団や無所属(共産を含む)の49人が連名で、「県の一部地域を差別し、辱める発言は言語道断であり断じて容認できない」などとする抗議文を提出した。知事に文書を手渡した自民の野崎正蔵代表は報道陣に対し、「多くの県民からけじめを取ってほしいとの声が届いている。それに応えられる対応を取りたい」と話し、公明の蓮池章平団長は「抗議文に対し、知事がどう対応するか見ていく」と述べた。
提出に加わらなかったふじのくに県民クラブの佐野愛子会長は、川勝知事に会見を開くように求めたことを明かし、「謝罪の会見をお願いしたつもりだったが、謝罪になっていなかった」と苦言を呈した。その後、会派として知事に「謝罪が必要だ」と申し入れた。
御殿場市の勝又市長は9日、臨時会見を開き、「(川勝知事の会見は)謝罪ではなく、『誤解』で通している内容で、市民の心の傷はまだ消えない。選挙の応援演説とはいえ、知事の発言は重い」と改めて不快感を示した。
県内の他の自治体からも非難の声が上がった。静岡市の田辺信宏市長は、9日の記者会見で、川勝知事の発言について「大変残念に思う。知事には、県内全市町、全県民に寄り添っていただきたい」と述べた。