「海外密輸ルートでもあるのか」首ひねる捜査関係者…「柿の王様」の大量窃盗相次ぐ

岐阜県内で柿の窃盗被害が相次いでいることから、県警はJAぎふなどと連携し、パトロールの強化に乗り出した。今年は1度に大量に盗まれる傾向にあり、柿を含む農作物の窃盗被害額は今年10月末時点で、昨年1年間の4倍超となっている。全国でも有数の柿の生産地である県内には広大な柿畑があり、県警は「警察の警戒だけでは限界がある。被害防止のために地域の目を光らせてほしい」と訴える。(乙部修平)
県警は9日、本巣市のJAぎふ糸貫選果場でパトロールの出発式を行った。JAによると、本巣地区では農家約360人が計約140ヘクタールの畑で柿を栽培しているという。特産品の「富有柿」の収穫が11月中旬にかけて最盛期を迎えることから、県警は地元自治会などと連携し、12月上旬頃までパトロールを強化する。
北方署の中島俊仁署長は出発式で「警察だけでなく地域全体と連携を取ることで防犯力を高めていきたい」とあいさつ。JAぎふ糸貫支店の北沢弘支店長も「被害に遭った生産者の気持ちを考えると、悲しくて言葉にならない。被害防止に努めていきたい」と話した。その後、署員やJAぎふの職員ら十数人が周辺の柿畑を回り、異常がないか確かめたほか、近くの「道の駅」で、農家から無償で提供された柿を通行人に配り、防犯対策の協力を呼びかける広報活動を行った。
柿の窃盗被害をめぐっては10月18日、岐阜市の柿農家から、富有柿約6万個(約300万円相当)が盗まれたと110番があった。24日にも、同市の別の農家から富有柿約600個(約7万円相当)の窃盗被害が判明。いずれも盗まれた柿は手の届く高さにあり、枝には刃物で切ったような跡があったという。今月に入っても、山県市で3日、干し柿用の渋柿計約7400個(約14万4000円相当)が盗まれていることがわかった。
捜査関係者は「これほど大量の柿が市場に出回れば、すぐに足がつくはず。海外への密輸ルートでもあるのか」と首をかしげる。一方、JA職員は「これまでの犯行は、本格的な収穫期の前に行われており、素人によるものでは」と推測する。
県警によると、県内では昨年、193件・114万円の農作物(枝豆やみかんなど)の窃盗被害があった。今年は10月末までに149件・524万円の被害を確認しており、1度に大量の農作物が盗まれる傾向にあるという。大通りから離れた人目につかない畑が狙われやすく、県警は防犯カメラや柵の設置を呼びかけているが、農家からは「コストがかかる上、広大な畑全体をカバーするのは無理がある」との声も上がる。
JA職員によると、富有柿は味と食感のバランスがいいことから「柿の王様」と言われるほど、全国的に人気が高い。また県の高級ブランド柿「天下

富舞
(ふぶ) 」が10月、過去最高額の2個86万円で競り落とされるなど、県内の柿の人気は高まっている。JA職員は「地域全体で警戒を強めるほかない」とこぼした。