政府は12日、冬場に懸念される新型コロナウイルスの感染拡大「第6波」に備えた対策の全体像を決定した。今夏のピーク時から3割増の入院患者約3万7000人を受け入れられるよう、病床約4万5000床を確保するなどが柱。来年3月以降の職域を含む3回目のワクチン接種開始や治療薬の確保で感染リスクを下げ、経済活動を継続できる「新たな日常」を目指すとしている。想定以上に感染が拡大すれば国民に行動制限を求め、一般医療を制限することも明記された。
同日午前、首相官邸で開いた新型コロナウイルス感染症対策本部でまとめた。今夏の第5波のピークと比べ入院の受け入れが2割増えるとの条件で各都道府県に入院者数を想定し、必要な確保病床数を確保するよう求めた。9月時点の確保病床数から約6000床の上積みを見込む。約1800床は臨時の医療施設を活用する。自治体は11月末までに、個別の医療機関との間で病床数や受け入れ条件で合意を目指す。
入院患者の受け入れを増やすにあたり、病床使用率を感染拡大時に8割以上とするように求めた。コロナ向けの病床と申告しながら実際には入院できない事例が相次いだためだ。医療機関ごとの病床使用率などを毎月公表する。
第5波では、感染しても必要な入院ができずに自宅で死亡するケースも相次いだ。そのため、宿泊療養施設を約1万4000室増加して約6万1000室とする。また、自宅療養者には、陽性判明後に往診や訪問看護する医療機関など約3万2000カ所を確保して対応にあたる。
医療人材の不足については、医療機関が事前に病床確保計画を立てることで増床を可能とし、臨時の医療施設には自治体の調整で派遣する体制をつくる。さらに感染が拡大した際には、感染状況が落ち着いている地域の一般医療も制限し、都道府県の間で広域的な人材派遣を行い病床を確保するよう、国が要求する。
ワクチン接種は11月中に2回目の接種をおおむね完了すると明記。12月以降、希望者全員が3回目の接種を受けられるようにし、来年3月には職域接種も対象とする。重症化を防ぐ経口薬(飲み薬)は年内に20万人分、来年3月末までに40万人分を追加。来年度分を含めて合計160万人分の確保に取り組む。
持病などでワクチン接種を受けられない人に対する予約なしの無料検査の拡大(来年3月まで)や、感染拡大時に都道府県の判断で無症状者が無料で検査できるよう支援する。【神足俊輔】