汚職事件の格納庫舞台に 山内元議員逮捕「転売すればもうかる」

関連会社の資金を私的流用したとして元参院議員の山内俊夫容疑者(74)が28日、業務上横領容疑で警視庁捜査2課に逮捕された。問題となった羽田空港の格納庫をめぐっては、警視庁がかつて摘発した汚職事件の舞台にもなり、国土交通省が訴訟を提起しているいわくつきの「事故物件」でもあった。
警視庁は平成27年、この格納庫がある国有地使用許可の更新などで便宜を図ってもらう見返りに現金を渡したなどとして、収賄容疑で国交省航空局の元係長を、贈賄容疑で格納庫を所有していた「ウイングズオブライフ」の元社長を逮捕。いずれも有罪判決が確定しているが、この格納庫をめぐるトラブルは終わっていなかった。ウイングズ社が格納庫のある国有地の使用料を滞納していたため、国は28年3月、原状回復と返還を要求していた。
「格納庫を買って転売すればもうかる」「50億~60億円で転売できる」
こうした中、山内容疑者は30年3月ごろ、合同会社を設立した高松市の不動産会社「マルナカホールディングス」の幹部に伝えたという。
1カ月後にはマルナカと、山内容疑者が代表理事だった一般社団法人「資源外交戦略研究所」で「羽田空港格納庫合同会社」を設立。売買契約が成立し、マルナカ側は28億円を支出する一方で、格納庫売買については合同会社の職務執行者を務める山内容疑者に一任されていた。
ただ、この売買についても国の承認は得ていなかったため、国交省は今年11月、ウイングズ社と合同会社を相手取り、土地の明け渡しなどを求める訴えを東京地裁に提起した。
マルナカ側が用意した28億円の一部でウイングズ社の弁護士が管理していた約2億8千万円が資源外交戦略研究所に送金され、流用発覚後に約5千万円が返金されたが、今回の横領分を含む残る2億円超は着服された可能性がある。捜査2課は詳しい資金の流れについて捜査している。