年賀状「おめでとう」の文字、今でもつらい…娘殺害事件で父「悲しみは一生続く」

犯罪の被害にあった人や家族らが事件後におかれる状況について理解を深めてもらおうと、2004年に広島県廿日市市で高校2年の長女(当時17歳)を殺害された父親の北口忠さん(64)が27日、広島市中区の広島弁護士会館で講演した。
犯罪被害者週間(25日~12月1日)に合わせ、公益社団法人「広島被害者支援センター」の主催で、約115人が参加した。
事件は約13年半にわたって未解決だったが、18年4月に県警が別の暴行事件の関連で浮上した男を逮捕し、昨年4月に殺人罪などで無期懲役が確定した。
事件直後は日常生活が失われ、北口さんは「世間と隔離されたような状況だった」と振り返った。
未解決だった間、他人に興味本位で自宅を訪問されたり、情報提供と引き換えに金銭を要求されたりしたこともあった。一方で、近所の人は事件前と変わらずに接してくれたことが、生活を続ける上で助けになったという。
今でも「おめでとう」の文字が入る年賀状を出すのもつらいとし、「事件に遭って初めて『こんなに悲しい思いが一生続くのか』とわかった。皆さんには同じ体験はしてほしくない。自分と家族の命を大切に、気を付けて過ごしてほしい」と締めくくった。