大阪市東住吉区で1995年、小学6年の女児が焼死した火災をめぐり、再審無罪が確定した母親の青木恵子さん(57)が、大阪府と国に損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁(本田能久裁判長)は29日、和解を勧告した。来年3月に判決を予定していたが、早期解決を優先したという。
原告側弁護団によると、青木さんが冤罪(えんざい)被害者だと確認した上で、府と国が具体的な再発防止策を定め、和解金を支払うという内容が提示された。再審無罪をめぐる国賠訴訟での和解勧告は珍しいという。
原告側は和解案を受け入れる方針。大阪市内で記者会見した青木さんは「最後の裁判にしたいという思いを裁判所が酌んでくれた」と涙ながらに語った。
青木さんは死亡保険金目的で放火、長女を殺害したとして殺人容疑などで逮捕、起訴され、2006年に無期懲役が確定。その後、自然発火の可能性が認められ15年に再審開始が決まり、16年に無罪が言い渡された。同年に府と国を提訴していた。
[時事通信社]