上下にうねる阪神高速「魔のトンネル」、事故頻度は首都高・千代田トンネルの5倍

神戸市内を走る阪神高速神戸山手線の神戸長田トンネル(約4キロ)で、交通事故が後を絶たない。急カーブ、急勾配が連続する難所で、東京都の首都高速で事故が多発するトンネルと比べても頻度は約5倍。兵庫県警や道路管理者は、取り締まり強化や路面の改良工事で事故抑止に懸命だ。
神戸長田トンネルは、関西方面と中国地方を行き来する人らが利用し、1日あたりの交通量は約1万6000台。2010年の開通から20年までに計593件の事故が起きており、平均すると年54件になる。
首都高速都心環状線「千代田トンネル」(千代田区)は、年平均80・1件と首都高速でも有数の事故が多いトンネルだが、交通量は神戸長田の5倍以上の約9万台。20年の交通量あたりの事故件数では、千代田の約47万台に1件に対し、神戸長田は約10万台に1件で、神戸長田が約5倍に上る。
事故頻発の要因とされるのが、複雑な道路構造だ。
急カーブが連続するほか、JR山陽線や地中を通る神戸市営地下鉄の線路を避けて作られたため、上下左右にうねるような構造になっている。早稲田大の石田敏郎名誉教授(交通心理学)は「トンネル内でここまで複雑なのは珍しい」と指摘する。
道路を管理する阪神高速道路(大阪市)は、路面を削って摩擦力を高め、滑りにくくするといった改良工事を12年以降、複数箇所で計20回以上実施。担当者は「同じ工事を3回、重ねた場所もある。それなのに事故が起きてしまう」とこぼす。県警も、トンネル内に小型の速度違反自動取締装置(移動オービス)を持ち込むなどして取り締まりを強化しているが、事故はなくなっていない。
阪神高速道路は、今後も路面改良や注意を促す表示板の設置などを進める予定。担当者は「速度を落として走ってもらうことが何より重要。慎重に運転してほしい」と呼びかけている。