11月26日、岸田文雄内閣は2021年度補正予算案を閣議決定した。これには、第2次岸田内閣となって11月19日に閣議決定した「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」も反映されている。この経済対策に盛り込まれた財政支出は、55.7兆円と過去最大となった。 2021年度補正予算案では、その財源のほぼ全額を国債増発で賄った2020年度補正予算と異なり、当初予算の見込みを上回る税収6兆4320億円についても、追加歳出の財源に充てることとした。 2021年度は、上半期が終わる9月30日にようやくすべての緊急事態宣言などが解除になるほど、経済活動を制限される時期が長期に及んだ。そんなコロナ禍でありながら、なんと国の一般会計税収は好調なのである。 ■コロナ禍でも税収は過去最高ペース 少し詳しく見てみよう。政府が当初予算で見込んでいた税収は57.4兆円だった。前述のように、実際にはこれを6.4兆円上回ることが見込まれ、予算ベースでの一般会計税収見込みは63.8兆円になった。この上振れ分を補正予算に織り込み、新たな支出に使うことになったわけだ。 現に、国庫に納められる税収の実績は、新型コロナに直面したにもかかわらず過去最高を記録した2020年度決算(60.8兆円)をすでに上回り始めている。今年度上半期(4~9月)に納付された一般会計税収は、2020年度上半期の16.7兆円に対し、18.4兆円(前年度比10.2%増)に達している。昨年度を上回る過去最高を更新するペースである。 この税収増は、なぜ起きているのか。 それは、消費税率が10%となって消費税収が安定して上がっていることに加え、法人税収が、2020年度どころかリーマンショック後最高だった2018年度をも上回る勢いになっているためだ。 確かに、新型コロナの悪影響は深刻だが、必ずしも経済全体におしなべて及ぶような影響ではないようである。コロナ禍でも、過去最高益を更新する企業も少なくない。 法人税の場合、企業収益が二極化しても、それが必ずしも税収減につながるわけではないようだ。というのも、平時でも法人の7割前後は法人税を納付していない。残り3割の法人が法人税を納付するが、その納付額は法人所得(企業の利益)に比例する。 だから、平時から利益を計上して法人税を納めている企業が、これまで以上に大きく儲かれば、法人税収が増える。その際、平時から赤字企業で法人税を納めない年が多い企業の業績が悪化しても、法人税収には響かない。2021年度は、今のところ、こうした二極化が起きていて、確かに業況が悪い企業も多いが、最高益を出す企業はより多く法人税を払うという現象が、前述した税収に現れたと考えられる。
11月26日、岸田文雄内閣は2021年度補正予算案を閣議決定した。これには、第2次岸田内閣となって11月19日に閣議決定した「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」も反映されている。この経済対策に盛り込まれた財政支出は、55.7兆円と過去最大となった。
2021年度補正予算案では、その財源のほぼ全額を国債増発で賄った2020年度補正予算と異なり、当初予算の見込みを上回る税収6兆4320億円についても、追加歳出の財源に充てることとした。
2021年度は、上半期が終わる9月30日にようやくすべての緊急事態宣言などが解除になるほど、経済活動を制限される時期が長期に及んだ。そんなコロナ禍でありながら、なんと国の一般会計税収は好調なのである。
■コロナ禍でも税収は過去最高ペース
少し詳しく見てみよう。政府が当初予算で見込んでいた税収は57.4兆円だった。前述のように、実際にはこれを6.4兆円上回ることが見込まれ、予算ベースでの一般会計税収見込みは63.8兆円になった。この上振れ分を補正予算に織り込み、新たな支出に使うことになったわけだ。
現に、国庫に納められる税収の実績は、新型コロナに直面したにもかかわらず過去最高を記録した2020年度決算(60.8兆円)をすでに上回り始めている。今年度上半期(4~9月)に納付された一般会計税収は、2020年度上半期の16.7兆円に対し、18.4兆円(前年度比10.2%増)に達している。昨年度を上回る過去最高を更新するペースである。
この税収増は、なぜ起きているのか。
それは、消費税率が10%となって消費税収が安定して上がっていることに加え、法人税収が、2020年度どころかリーマンショック後最高だった2018年度をも上回る勢いになっているためだ。
確かに、新型コロナの悪影響は深刻だが、必ずしも経済全体におしなべて及ぶような影響ではないようである。コロナ禍でも、過去最高益を更新する企業も少なくない。
法人税の場合、企業収益が二極化しても、それが必ずしも税収減につながるわけではないようだ。というのも、平時でも法人の7割前後は法人税を納付していない。残り3割の法人が法人税を納付するが、その納付額は法人所得(企業の利益)に比例する。
だから、平時から利益を計上して法人税を納めている企業が、これまで以上に大きく儲かれば、法人税収が増える。その際、平時から赤字企業で法人税を納めない年が多い企業の業績が悪化しても、法人税収には響かない。2021年度は、今のところ、こうした二極化が起きていて、確かに業況が悪い企業も多いが、最高益を出す企業はより多く法人税を払うという現象が、前述した税収に現れたと考えられる。