「仕事も暮らしも。欲張りなライフスタイル実現のために」--。広島県が女性労働者を支援するために発行している冊子が、物議を醸している。
注目されているのは「働く女性応援よくばりハンドブック」。仕事と家庭を両立しようとすることを「よくばり」とするなど、一部の表現が不適切ではないかとしてネット上で抗議の声があがった。県はJ-CASTニュースの取材に、「働く女性を応援するという県の趣旨が十分に伝わるよう内容の見直しを図っていきたい」としている。
「全然応援してないよ」
同冊子は広島県公式ツイッターが2021年11月27日、無料配布していると周知したことで注目を集めた。発行されたのは16年。20年に改定されている。
50ページにおよぶ冊子は妊娠・出産に関する各種支援制度を紹介しているほか、仕事と家庭の両立をめざす「ワーキングママ」のための情報などがまとめられている。
ネット上では各種制度がわかりやすいと評価があがった一方で、仕事と家庭の両立をめざすことを「よくばり」と表現するのは適切でないとして、「子育てしながら働くことは、女性のわがまま、欲張りなことなんですか?」などと抗議の声が集まった。
内容への違和感はほかにも寄せられた。「ワーキングママの心構え」を記した項目では、仕事と家庭の両立には周囲の協力が欠かせないとしたうえで、現状に不満を抱いている想定の「上司」や「パパ」らのセリフを次のように掲載。
彼らの理解を得るには感謝と配慮が大事であると強調し、経験者からの助言をそれぞれ添えた。
これらの表現は波紋をよび、「何でママだけに求められるの?」「全然応援してないよ」「とにかく不快」と批判の声が集まっている。
趣旨が十分に伝わるよう内容の見直しを図る
批判の声を受けて広島県・担当者は30日、J-CASTニュースの取材に、
といい、次のように説明した。
冊子に用いられた「よくばり」という言葉は、15年に策定された広島県の総合計画「ひろしま未来チャレンジビジョン」の文脈に基づく前向きな表現だという。
総合計画では「仕事も暮らしも。欲張りなライフスタイルの実現」を掲げている。その趣旨は、
を目指すというもの。これを受けて今回の冊子においても、「女性が仕事も暮らしもどちらにおいても希望を叶えられるように」と「よくばり」という表現を採用したとする。
前出「ワーキングママの心構え」については「仕事と育児や家事との両立について、好意的な意見だけではなく様々な考え方がある」ことを踏まえて制作したと説明。具体的には、
とする。今後の対応について、担当者は次のとおり伝えた。