岸田文雄政権は、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の海外での感染急拡大を受け、全世界を対象に外国人の新規入国を原則停止すると発表した。ただ、「原則」には「例外」があり、「特段の事情」などによる入国者は認め続けるという。WHO(世界保健機関)が最も警戒レベルが高い「懸念される変異株(VOC)」に指定しているのに、「ザル入国」を許していいのか。
「日本の水際対策はまだ詰めが甘い。もっと厳格にすべきだ。決して抜け穴があってはならない」
「ヒゲの隊長」こと自民党の佐藤正久外交部会長は29日、党本部で開かれた外交部会などの合同会議で、こう危機感をあらわにした。
この日、出入国在留管理庁が出した資料では、出産や結婚、人道上の配慮が必要な場合といった「特段の事情」などによる入国者が、11月1日~25日だけでも計9244人(1日平均370人)いた。
これとは別に、外国人で、査証(ビザ)があれば入国が認められる再入国者は1万7595人(同704人)。
10月で見ると、「特段の事情」で1万999人(同355人)が入国し、再入国者は2万2227人(同717人)もいた。
「特段の事情」での入国は「日本人や在留資格を持つ永住者の配偶者や子供で、海外と日本で別々に居住している場合」や、「『外交』や『公用』の在留資格を持つ人」「ワクチン開発の技術者など、入国目的で公益性が認められる人」らに限定され、在外公館でのビザ発給時に個別の判断で認められている。
だが、佐藤氏は「この例外規定は、いまや形骸化しているようだ」と指摘し、続けた。
「東京五輪・パラリンピックもあり、『特段の事情』による入国は、スポーツの国際大会の関係者のほか、音楽会の演奏者らなどにまで、かなり緩和されている。オミクロン株の特性が分からない以上、安易に『例外』を認めてはならない」