子どもの病気などを理由に転勤に応じなかったことで懲戒解雇されたのは不当だとして、「NECソリューションイノベータ」の元社員の男性が会社に対して解雇の無効などを求めた裁判で、大阪地裁は男性の訴えを退けました。 中正司光幸さん(55)は「NECソリューションイノベータ」の大阪市内のオフィスで働いていましたが、2018年に会社側から業績悪化で業務の集約が必要だとして神奈川県への転勤か早期退職を求められたということです。 中正司さんは、長男が突然頭痛や嘔吐の症状が出る病気を患っていて、同居する母親の体調が安定しないことを理由に拒み続けていましたが、2019年4月に懲戒解雇されたため、会社に対して解雇の無効などを求めて提訴しました。 裁判の中で、会社側は「早期退職の制度説明やオフィスの閉鎖について繰り返し説明したが、中正司さん側が拒否し続けた」などと主張していました。 大阪地裁は11月29日に「母親の状態は加齢による一般的なものを超えるものではなく、息子の病気も成長とともに症状は改善される」とした上で、会社側が転勤などについて「応じられない理由を聴取する機会を設けようとしたにもかかわらず、原告が自ら説明の機会を放棄した」などとして、中正司さんの訴えを退けました。 中正司さんは「家庭の事情を考慮しないのは不当判決だ」として控訴する方針です。