北海道の太平洋沿岸で赤潮が原因とみられるウニなどの大量死を受け、鈴木直道知事は1日、甚大な被害が起きた釧路市と厚岸町で漁業関係者と意見交換し、ウニの種苗を生産する「釧路管内水産種苗生産センター」(同町)を視察した。赤潮は収束に向かっており、漁業者への支援や補償が今後の焦点となる。
道と道立総合研究機構(道総研)は11月30日に開かれた関係振興局との対策会議で、「赤潮は急速に収束に向かっている」と報告した。11月15~21日の水質調査で、赤潮の原因とみられるプランクトン「カレニア・セリフォルミス」はほとんど検出されず、赤潮発生の目安を大きく下回ったという。
一方、鈴木知事は1日、漁業関係者らに「ウニは回復までに4年程度かかり、1年で終わる話ではない。実情を(国に)伝え、皆さんが希望を持って漁業ができる仕組みをつくる」と述べ、15億円の「北海道赤潮対策緊急支援事業」が閣議決定されたと報告した。
厚岸漁協の丹後谷耕一・ウニ潜水器漁業班長は「3~5年かけて育ててきたウニの8、9割が死滅した。来年から収入が全く見込めなくなるので、数年にわたる支援事業をお願いしたい」と要望した。【本間浩昭、米山淳】