吉村知事がドバイ訪問取りやめ、大阪万博PRに痛手…「オミクロン株」感染拡大で

新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大を受け、大阪府の吉村洋文知事は30日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催中のドバイ国際博覧会(万博)の「ジャパンデー」(12月11日)に合わせた現地訪問を取りやめる考えを明らかにした。2025年大阪・関西万博への参加国集めにブレーキがかかることになり、日本側にとっては痛手となった。
ジャパンデーでは、日本の伝統や文化を紹介する「日本館」を中心に様々なイベントが計画される。吉村知事と大阪市の松井一郎市長は9~14日に渡航し、各国の責任者に大阪・関西万博への参加を「トップセールス」で呼びかける予定だった。
吉村知事は記者団に「何とか水際でオミクロン株を抑えようとしているときに、コロナ対策の陣頭指揮を執る私自身が出席することはない」と述べた。
現地でのフォーラムに出席予定だった関西経済連合会の松本正義会長と対応を協議したといい、関経連も11月30日、松本会長の訪問見送りを発表した。松井市長も見送る見通しだ。
政府は大阪・関西万博を東京五輪・パラリンピック後の成長の起爆剤と位置づけ、150か国・25国際機関の参加を目標に掲げる。しかし、新型コロナウイルスの影響で政府関係者らの海外での招致活動は制限され、参加を表明しているのは64か国・5国際機関(11月24日現在)にとどまる。約190か国が参加するドバイ万博は、招致活動の遅れを挽回する絶好の機会と位置づけられていた。
府と大阪市がジャパンデーで企画するステージイベントに出演予定の高校生ら約50人も参加を取りやめる方向という。
府の担当者は「渡航のための準備を進め、いよいよこれからという時だった。オミクロン株の登場は最悪のタイミングだ」と嘆いた。 吉村知事はオミクロン株の感染状況次第では、来年3月末までのドバイ万博期間中の訪問を模索する考えも示したが、実現するかは不透明だ。
内閣官房国際博覧会推進本部事務局によると、オミクロン株の影響で、日本側がドバイ万博の会場内で予定していた海外要人との面会にキャンセルが出ているという。担当者は「現地に駐在する各国の担当者に粘り強く招致を働きかけるようにしたい」と話した。