自宅から「テレワーク」でうその電話をかけて高齢者からキャッシュカードをだまし取ったなどとして、警視庁捜査2課は3日、広島市中区宝町、職業不詳、山根尚喜容疑者(43)を詐欺容疑で、東京都中野区若宮1、会社員、佐藤風夢(かざむ)容疑者(26)を詐欺未遂容疑でそれぞれ逮捕したと発表した。
2人は詐欺の電話をかける「かけ子」で、摘発のリスクを減らすため拠点を設けずに特殊詐欺を繰り返していたグループの一員とみられる。このグループを巡っては、これまでに全国の警察が約100人を逮捕したという。
山根容疑者の逮捕容疑は今年9月中旬ごろ、都内に住む90代の男性の自宅に警察官を装って電話をかけ、「あなたのキャッシュカードが偽造されている。今から警察官がカードを受け取りに行く」などとうそを言い、自宅などでキャッシュカード計3枚をだまし取ったとしている。佐藤容疑者も5月下旬に80代男性に同様の電話をかけたが、未遂に終わったとしている。同課は2人の認否を明らかにしていない。
同課によると、このグループは、ネット交流サービス(SNS)を通じてかけ子や、カードを受け取る「受け子」を募集。応募者とみられる計約240人分のデータが、別の事件で逮捕された男性容疑者の携帯電話に残っていた。このうち、全国の警察がかけ子約20人、受け子約80人を逮捕。警視庁も今回の2人を含め、今年9月以降に計11人を逮捕した。【安達恒太郎】