岸田文雄政権の内閣官房参与に就任した自民党の石原伸晃元幹事長が代表を務める同党東京都第8選挙区支部が昨年、「雇用調整助成金」計約60万円を受給していたことが分かった。石原氏側は助成金の申請に問題はないという姿勢を示しているが、助成金は一般にはコロナ禍で苦しむ中小企業向けとされるため、疑問も残る。
先月公表された同支部の政治資金収支報告書によると、「その他の収入」の欄に「雇用安定助成金」として約23万円(4月分)、約18万8000円(5月分)、約18万8000円(4月分)との記載があった。
夕刊フジの調べでは、自民党の東京1~25区の選挙区支部で、同様の収入は、石原氏の支部以外にはなかった。
厚労省によると、前出の助成金は、コロナ禍で事業活動が縮小した企業を対象に、従業員の雇用を守るために設けられた。「最近1カ月間の売上高が、前年の同じ月から5%以上減少している」などの条件を満たす必要がある。
同省東京労働局の担当者は「政党支部であっても、スタッフらを解雇せずに休業させた分について、申請ができないわけではない」と語る。
ただ、石原氏の支部は昨年1年間で総額約4200万円の収入があり、前年よりも増えていた。
そこで、夕刊フジは石原事務所に8日、「第8支部の事業内容のどの部分で、収入が対前年比で下がったのか」「休業手当は出していたのか」「石原氏が記者会見などで説明責任を果たす予定はあるか」など、5項目の質問状を送った。
これに対し、石原氏側は同日、第8支部名で「ご指摘の雇用調整助成金につきましては、当方において、所管官庁に確認した上で、必要な書類を添付し、適正に申請し、審査いただいたものと承知しております」と書面で返答があった。詳細には答えていない。
石原氏は、先の衆院選で落選したが、岸田首相は6日、「観光政策担当」の内閣官房参与とする辞令を交付した。
大和大学准教授(政治哲学)の岩田温氏は「(石原氏側が)書面1枚で説明責任を果たしたと済ませようとする姿勢こそが、有権者にそっぽを向かれ、先の衆院選で落選した理由ではないのか。後ろめたさがないなら、申請した経緯も含めて正々堂々と説明すべきだ。参与での起用に反発する声が広がったが、これで有権者をさらに失望させた」と語った。