踏みにじられた「在日女性」の願い 「ヘイト文書」配布で2審も敗訴したフジ住宅が上告

特定の民族を貶める「ヘイト文書」を社内配布するのは違法だとして、在日コリアンの女性従業員が、「フジ住宅」(大阪府岸和田市)と同社会長を相手取り、損害賠償をもとめた訴訟で、1審につづき2審でも敗訴した会社側がこのほど、最高裁に上告したことがわかった。「会社に変わってほしい」。そんな女性の願いは叶うのか。これまでの裁判をふりかえる。(ライター・碓氷連太郎) ●1審・大阪地裁は「環境型ハラスメント」を認定した 原告の女性は、2002年から、同社で非正規従業員として働いている。 女性によると、同社では2008年ごろから、戦前の「大東亜共栄圏」を肯定する書籍や、在日を含む中韓北朝鮮出身者を「卑劣」「野生動物」などと書いた文書が配布されていた。 女性は2015年8月、こうした「ヘイト文書」が、女性を名指しするものではなくても、差別にあたるとして、計3300万円の損害賠償をもとめる裁判を起こした。 1審・大阪地裁堺支部は昨年7月2日、「資料の内容と原告個人との結びつきが明確ではなく、原告個人に対する被告会社の従業員が抱く客観的な社会的評価を具体的に低下させる効果があると認めるには足りない」と判断。 一方で、「労働者の国籍によって差別的取り扱いを受けない人格的利益を侵害するおそれが現実に発生していて、社会的に許容できる限度を超えている」として、環境型ハラスメントを認定して、会社と会長に計110万円を支払うよう命じる判決を下した。 ●1審後も「ヘイト文書」が配布されていた 提訴したあとも、女性は勤務をつづけてきたが、1審・大阪地裁堺支部の判決後すら、社内では中国や韓国を貶める文章が配布されていた。このことについて、女性は、次のように苦痛を吐露している。 「以前よりも体調が悪くなりました。動悸はするし、ときどき心臓がギュッと動いて苦しくなることがあります。毎日出社していますが、会社では変わらず韓国や中国を貶めたりする内容の記事や、自分を攻撃するために判決をないがしろにする文書などの配布が今もつづいています」(女性) 民族差別的なものだけではなく、女性を誹謗中傷する社外の人間のブログや、『この人はいつまで働き続けるんですか』『温情を仇で返す行為であり恥知らず』と書かれた経営理念感想文などを配られていたという。 しかし、表立っては支援の声を挙げないものの、社内には、女性を差別せずに接する仲間も数多くいる。女性によると、仲間の支えがあったから、会社を辞めずに働いてこられたという。 ●2審・大阪高裁は「ヘイト文書」の差し止めを命じた
特定の民族を貶める「ヘイト文書」を社内配布するのは違法だとして、在日コリアンの女性従業員が、「フジ住宅」(大阪府岸和田市)と同社会長を相手取り、損害賠償をもとめた訴訟で、1審につづき2審でも敗訴した会社側がこのほど、最高裁に上告したことがわかった。「会社に変わってほしい」。そんな女性の願いは叶うのか。これまでの裁判をふりかえる。(ライター・碓氷連太郎)
原告の女性は、2002年から、同社で非正規従業員として働いている。
女性によると、同社では2008年ごろから、戦前の「大東亜共栄圏」を肯定する書籍や、在日を含む中韓北朝鮮出身者を「卑劣」「野生動物」などと書いた文書が配布されていた。
女性は2015年8月、こうした「ヘイト文書」が、女性を名指しするものではなくても、差別にあたるとして、計3300万円の損害賠償をもとめる裁判を起こした。
1審・大阪地裁堺支部は昨年7月2日、「資料の内容と原告個人との結びつきが明確ではなく、原告個人に対する被告会社の従業員が抱く客観的な社会的評価を具体的に低下させる効果があると認めるには足りない」と判断。
一方で、「労働者の国籍によって差別的取り扱いを受けない人格的利益を侵害するおそれが現実に発生していて、社会的に許容できる限度を超えている」として、環境型ハラスメントを認定して、会社と会長に計110万円を支払うよう命じる判決を下した。
●1審後も「ヘイト文書」が配布されていた
提訴したあとも、女性は勤務をつづけてきたが、1審・大阪地裁堺支部の判決後すら、社内では中国や韓国を貶める文章が配布されていた。このことについて、女性は、次のように苦痛を吐露している。
「以前よりも体調が悪くなりました。動悸はするし、ときどき心臓がギュッと動いて苦しくなることがあります。毎日出社していますが、会社では変わらず韓国や中国を貶めたりする内容の記事や、自分を攻撃するために判決をないがしろにする文書などの配布が今もつづいています」(女性)
民族差別的なものだけではなく、女性を誹謗中傷する社外の人間のブログや、『この人はいつまで働き続けるんですか』『温情を仇で返す行為であり恥知らず』と書かれた経営理念感想文などを配られていたという。
しかし、表立っては支援の声を挙げないものの、社内には、女性を差別せずに接する仲間も数多くいる。女性によると、仲間の支えがあったから、会社を辞めずに働いてこられたという。