英中部リバプールで開かれたG7(先進7カ国)外相会合は12日、2日間の討議を終え、閉幕した。「自由」「民主」「人権」などの価値観を共有するG7外相は、民主主義や国際秩序の擁護を訴え、ウクライナ国境に10万人近い部隊を展開するロシアや、途上国への経済的威圧を強める中国に自制を警告した。ロシアによる「ウクライナ侵攻」と、中国による「台湾有事」は連動する可能性が指摘されるなか、「親中派」である林芳正外相の言動を、外交専門家はどう見たか。
「平和や安全、安定を損なう恐れのある深刻な事案について、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国とともに懸念を表明した」「(ロシアが)甚大な結果に直面し、厳しい代償を払うことになることは疑いの余地がない」
議長国の英政府は12日、議長声明で軍事的覇権拡大を進める中国を非難し、G7外相声明でロシアのウクライナ侵攻への懸念を表明した。
最大の論点は、自由主義諸国が中国やロシアなどの権威主義国家にどう向き合うかだった。特に中国については、東・南シナ海での一方的な現状変更の試みや、香港情勢、新疆ウイグル自治区での人権弾圧を問題視し、台湾海峡の平和と安定の重要性で一致した。
G7外相会合をどう見るか。
国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「欧州諸国には、地理的な距離が近いウクライナをめぐるロシアの動きに関心が高いはずだ。ただ、『ウクライナ侵攻と台湾有事は連動する』という指摘もあり、日本は本来、中国をめぐる議論をリードすべき立場にある」と解説した。
本格的な外交デビューとなった林氏については、夕食会が開かれたビートルズ・ストーリー博物館で、ジョン・レノンの代表曲「イマジン」をピアノで演奏したと報じられた。一方、北京冬季五輪の「外交的ボイコット」については、「適切な時期に判断する」と慎重姿勢を崩さなかった。
島田氏は「ロシアによるクリミア併合は2014年ソチ冬季五輪の直後に始まった。北京冬季五輪後、中国が台湾侵攻に乗り出す可能性も否めない。差し迫った状況で、林氏の発信は弱すぎる」と指摘した。