愛知県弥富市の市立中学校で中学3年の男子生徒(14)が刺殺された事件で、名古屋地検は14日、同学年の少年(14)を殺人と銃刀法違反の非行内容で名古屋家裁に送致した。家裁は同日、27日までの観護措置を決定した。捜査関係者によると、少年は「すべてがどうでもよくなった」との趣旨の供述をする一方、男子生徒やその家族に対し「申し訳ない」と謝罪の言葉を述べているという。
名古屋地検は少年のこれまでの供述内容から刑事責任を問えると判断したとみられ、専門家による精神鑑定は実施しなかった。
事件は11月24日の始業前に発生。少年は男子生徒を廊下に呼び出し、腹部を柳刃包丁(刃渡り約20センチ)で刺したとして殺人未遂容疑で現行犯逮捕され、同25日に殺人容疑で送検された。その後、包丁を所持したとする銃刀法違反容疑でも追送検されていた。
捜査関係者によると、少年は逮捕後の調べに「生徒会の選挙に立候補した男子生徒に応援演説を頼まれたのが嫌だった」などと供述。事件直前の14~16日にあった修学旅行中、禁止されていた携帯電話の持ち込みを他の生徒に見つかり、教員から没収されたことなどを挙げ、「疎外感を感じた」「嫌なことが重なって自暴自棄になった」と話し、「すべてがどうでもよくなった」との趣旨の供述もしているという。
さらに、死亡した男子生徒やその家族について「何か思うことはあるか」と問われると、少年は「申し訳ない」などと話しているという。取り調べには一貫して落ち着いて受け答えしていたという。
少年の身柄は当初、名古屋少年鑑別所に移送されたが、取り調べ時間に制約があり、途中から警察施設内に移った。県警は少年の成育環境や性格などについて同級生や教員だけでなく、幅広い関係者から聞き取りしてきた。【森田采花】
少年院送致か逆送か、家裁判断
名古屋家裁に送致された少年は27日までの観護措置が決まり、少年法に基づく手続きが進められる。家裁は観護措置期間中、少年審判を開いて少年院送致などの保護処分にするかや検察官送致(逆送)にするかなどを判断する。
観護措置の少年に対し、家裁調査官は少年の性格や日ごろの行動、成育歴などについて医学や心理学などの専門知識を活用して非行に至った経緯を調査。その上で少年審判を開くかどうか家裁が判断する。観護措置期間は原則2週間とされ、相当の理由がある場合は最長8週間までの延長が認められている。
2000年の少年法改正で、刑事罰の対象年齢は16歳以上から14歳以上に引き下げられたが、殺人など故意に人を死亡させた少年で原則逆送と規定されたのは16歳以上となっていて、14~15歳が逆送されるケースはほとんどない。最高裁によると、01~20年に殺人の非行内容で家裁送致された14~15歳は計37人いたが、逆送されたのは2人にとどまっている。
少年審判が開かれ、保護処分となった場合は「少年院送致」のほか、保護司などの支援を受けながら一般社会の中で生活する「保護観察」などがある。一方、家裁が刑事処分相当と判断すれば、少年は逆送され検察が10日以内に起訴するかどうかを判断。起訴されれば成人と同じ裁判を受けることになる。【森田采花、道永竜命】