政治・社会の「裏」流行語とは?コロナ、五輪、女性蔑視…暗鬱な2021年を振り返る

2021年流行語大賞は「リアル二刀流/ショータイム」が年間大賞に選ばれた。それを表とするならば、界隈ごとに盛り上がった裏流行語がある。ジャンル別に“世相を反映した“言葉を一挙紹介。今回は政治・社会編。

◆我慢させられる若者と無邪気な失言おじさん

本家の新語・流行語大賞では、オリンピック関連の言葉が多く挙がったが、印象に残っている言葉は少なかった。その原因をノンフィクションライターの石戸諭氏は「アスリートが国民に配慮して、自重したからでしょう」と語る。

「過去最多のメダリストが誕生しましたが、彼らは勝利を喜ぶより先に、国民の理解に対し丁寧に感謝しなくてはいけなかった。結果を出しても、素直に嬉しがれなかった選手たちがかわいそうです」

パンデミック下で味気なくとも開催された五輪とは対照的に、甲子園の「異例の開会式」に象徴されるように、多くの若者たちが、昨年に続き、我慢を強いられた。

「高校野球の出場辞退校も今考えれば出場する道はあったはず。子供たちのオリパラ観戦も政府や組織委員会の責任で行えたと思います。前向きな施策を打てず、若者に辛抱させるばかりの政府でした」

◆旧態依然とした日本を象徴する男たち

若いアスリートが感情を押し殺し、子供たちが忍耐する一方で、要職に就くおじさんたちの奔放な振る舞いは目に余るものがあった。

「“政界のマツジュン”こと松本純元衆議院議員は緊急事態宣言中に銀座のクラブで遊び、バッハ会長は“銀ブラ”に繰り出す。また、森さんや麻生さんといった失言の両横綱も健在。下品で時代錯誤な発言を残しましたが、なぜか周りの大人に庇われる。

年長者が幅を利かせているという点では、リベラル派も変わらないことが、張本勲の女性蔑視発言で明らかに。今年で番組降板とのことですが、なぜ、野放図な高齢男性に誰も引導を渡せないのか。旧態依然とした日本を象徴する男たちでした」

新型コロナ関連でもあらゆる問題が放置されている。感染者数急減の理由もわからず、医療体制の再構築も、遅々として進まない。

「オリンピックの総括も、コロナの正確な現状分析もないまま2021年が終わると思うと、暗澹たる気持ちになります」

◆政治・社会部門 流行語ベスト10

1位 余人をもって代えがたい
女性蔑視発言を批判された森喜朗を擁護する際、取り巻きが繰り返した言葉。「ひどい発言をしても、偉いおじさんは守られる。日本の悪弊を象徴する言葉」

2位 嫁入り前のお嬢ちゃん
女子ボクシングの入江聖奈選手に対し『サンデーモーニング』で張本勲が発言。「先日やっと番組”卒業”が決まったが、失言後もしばらく出演は続いた」

3位 チャイニーズピープル
来日時、会見で日本人を中国人と言い間違えたIOCのバッハ会長。「”ぼったくり男爵”は、日本中の不満を一身に受けても、どこ吹く風でした」

4位 安全・安心な東京五輪
菅義偉前首相が何度も述べたが「安全・安心」の実態は不明で、むしろ国民の不安を煽った。「官房長官時代から続く”菅話法”。具体的な話はほぼなかった」

5位 1日100万回
5月に菅前首相が掲げたコロナワクチンの摂取目標。「医療現場の尽力で1か月後には目標を達成。結果的にこの方針だけは、菅さんにしては悪くなかった」

◆6~10位

6位 #ねえねえ尾身さん
コロナ対策分科会の尾身茂会長が、若者との対話を目的にInstagramを開設。「このハッシュタグで質問を募るも、更新はすぐにストップ。意図が謎でした」

7位 幽霊病床
病床はあるが患者が入院できない問題。「病床に多額の補助金が注がれているのに、なぜか治療にがらない。早急な医療体制の整備が望まれます」

8位 立憲共産党
立憲民主党と共産党の閣外協力を揶揄した麻生太郎の造語。「失言王の麻生さんですが、この発言がボディブローのように効き、立民惨敗の一因となった」

9位 異例の開会式
コロナで2校が出場辞退、マスク着用で行われた夏の甲子園開会式。「高校生が我慢を強いられる一方で、五輪は万全の態勢で開催。線引きが曖昧でした」

10位 陳情を聞くため
元衆議院議員の松本純が、緊急事態宣言下に銀座のクラブをはしごした際の言い訳。「我慢できないくらい高級クラブが好きなことがよく伝わりました」

番外編 ビッグボス
北海道日本ハムファイターズの新庄剛志新監督が呼称を「ビッグボスでお願いします」と発言。「閉塞感が続き、至るところでビッグボス待望論が起こりそう」

【選者・石戸 諭氏】
ノンフィクションライター。著書に『ルポ 百田尚樹現象』(小学館)などがあり、近刊は『東京ルポルタージュ 疫病とオリンピックの街で』(毎日新聞出版)

<取材・文/週刊SPA!編集部 写真/時事通信社>
※週刊SPA!12月7日発売号の特集「(裏)流行語大賞2021」より

―[(裏)流行語大賞2021]―