今年6月、大阪市西成区で地盤が崩れ、住宅5軒が倒壊しました。崩落からまもなく半年です。突如家を失った住人に今の心境を聞きました。 今年6月25日、平穏な朝が一変しました。大阪市西成区で高台の「のり面」が突然崩れ、そこに建っていた住宅2棟4軒が倒壊しました。その11日後、崩落寸前で残った1軒も、このまま放置すると危険が及ぶとして、重機などで引き倒されたのです。 崩落で自宅を失った山下輝夫さん(61)。ローンも完済し、終の棲家として80代の母親と2人で暮らしていましたが、崩落当日の朝、家が傾いているのではないかと異変を感じ、着の身着のままで飛び出しました。そのわずか40分後、目の前で家が崩れるのを見たといいます。 (山下輝夫さん 12月9日) 「自宅があったのはここら辺から、これくらいまでかな。見るも無残というか何というか…。半年前までここで寝起きしていたのにね。なんというかな、『あぁ…』かな。夜中でなくて良かったなと。夜中やったら2人とも死んでたでしょ」 1か月後、家が崩れた場所に大阪市の職員立ち合いのもとで入りましたが、ほとんどの家財道具が壊れ、思い出の品も見つかりませんでした。 (山下輝夫さん 今年7月) 「ひどいわ、どこに何があるかさっぱり」 崩落の原因と責任はどこにあるのか。当時、のり面の下の土地では高齢者施設の基礎工事が行われていましたが、建築主側は取材に対して「のり面の安全管理は住民側が行うもので、工事と崩落の因果関係を調査するつもりはない」としています。また大阪市の松井一郎市長は、さらなる斜面の崩落で市道に危険が及ぶのを防ぐため、補強工事は進めた一方で、市としては崩落の責任はあくまで民間同士の問題だ、という立場です。 山下さんは現在、大阪市内の市営住宅で暮らしています。1か月約3万円の家賃を負担して、約150万円かけて家具・家電・服などの生活必需品を新たに買い揃えました。 (山下輝夫さん 12月9日) 「まさかね。夢にも思っていないから。あの生活が戻るわけでもないけれども、この件が早く終わってほしい。それが一番かな」 突如奪われた日常。補償もなく、責任の所在も見えぬまま、新しい年を迎えようとしています。