兵庫県姫路市沖の播磨灘に浮かぶ家島諸島でイノシシが増えている。海を10キロ以上泳いで上陸したとみられ、島内ではサツマイモなどの作物や森が荒らされる被害も発生。人が襲われる恐れもあるため、住民たちが狩猟免許を取得するなど、官民一体となって捕獲に乗り出している。(新良雅司)
家島諸島では最も広い西島。「県立いえしま自然体験センター」があり、年間に約2万5000人がキャンプや環境体験学習などに訪れている。
「わなにイノシシが入っとる。この冬は初めてや」
今月8日、キャンプ場周辺の見回りをしていた同センターの萩本義郎所長(69)が声を上げた。
萩本所長によると、2013年にイノシシの死骸がセンター近くの海岸に打ち上げられた。イノシシはこの頃から西島に渡って来たとみられ、15年以降はセンター職員がたびたび生体を目撃している。
繁殖していたアカテガニやスナガニが減り、放し飼いのウサギも全滅。希少植物のササユリが掘り起こされるなどの被害が島内で続いた。
キャンプに来た子どもがけがをする恐れがあることから、自らの手で島内の安全を守ろうと、19~20年にセンター職員6人が狩猟免許を取得。12か所にわなを仕掛け、これまで計約60頭を捕獲した。県猟友会飾磨支部に所属し、捕獲したイノシシは自分たちでさばいて食べる。
家島本島では4人、坊勢島では2人の島民がそれぞれ狩猟免許を取得し、捕獲に当たっている。
地域おこし協力隊として赴任してきた伊藤真美さん(36)も7月に免許を取得。「島民がけがをしないか心配」と、10月末に3年間の隊員任期が満了した後も島に残り、捕獲に協力している。
兵庫県立大と県森林動物研究センターは20年度から、家島諸島で生息状況を調査しており、男鹿島を含む有人4島には計約400頭のイノシシがいると推定されるという。
横山真弓・兵庫県立大教授(野生動物保護管理学)の話「瀬戸内海の島々に泳ぎ着いたイノシシが繁殖し、爆発的に数が増えている。被害を減らすためには、定期的に生息状況を把握して計画的に捕獲し、その効果を検証していくことが重要だ」