愛してくれる存在に頼りたい…相次ぐ国際ロマンス詐欺、相手の肩書には「英弁護士」「米軍医」など

SNSで外国籍を名乗る異性と知り合い、投資などを持ちかけられて金をだまし取られる詐欺被害が相次いでいる。滋賀県内では今年、少なくとも男女16人が計約1億6500万円の被害に遭った。コロナ禍でSNSが出会いの手段として浸透していることが背景にあり、個人同士、ネット上でのやりとりが続くため、犯罪が露見しにくい課題がある。(岩崎祐也)

外国人の異性に恋心を抱き、金品をだまし取られる犯罪は「国際ロマンス詐欺」といわれる。古くからある犯罪の形態だが、近年は、恋愛や結婚を望む男女が条件に見合う相手を探すサービス「マッチングアプリ」などネット空間が最初の出会いの場になっている。
国民生活センターによると、マッチングアプリなどSNSをきっかけとする投資絡みの相談は2020年度に84件、21年度は11月末までに166件で、19年度の5件に比べ急増している。
県内で今年、被害に遭った16人も全員がSNSで相手と知り合っていた。
年齢は20~70歳代と幅広く、職業も会社員、看護師、飲食店経営など様々。被害額は平均約1030万円に上る。

最多3200万円もの被害が出たのは、大津市の会社員男性(56)のケース。4月にフェイスブックでマレーシア国籍を名乗る女性と知り合い、「金融アナリストの兄の指導のもとで投資をして収益を得た」などと勧められ、5~9月、計22回にわたって計約3200万円を振り込んだ。その後、家族に相談して詐欺だと気付いた。滋賀県警は「ネット上でやりとりするため、周囲や警察が被害を把握するのが遅れがちになる」と指摘する。
相手の「肩書」は「英国陸軍の弁護士」「アメリカ国籍の軍医」など身近にはあまりいない職業が多い。外国人の顔写真やパスポートの画像を送ったり、職業に合わせた知識や裏話を明かして信じ込ませたりする。メッセージは主に日本語だが、ちぐはぐな言葉遣いも散見され、外国人らしさを装っているとみられる。
県警は「珍しく非現実的な存在ほど、被害者は興味を抱き、のめり込みやすい」と注意を呼びかける。

巧みに夢や恋心をくすぐる手口も巧妙だ。
大津市内の30歳代の飲食店員女性は昨年12月、「イギリス人パイロット」と名乗る男性と語学交流アプリを通じて知り合った。
今年1月に男性から「日本円で3000万円ほどのプレゼントを贈ったから、あなたの夢のケーキ屋開店資金に使っていいよ」とのメッセージを受けたが、その後、「タイで荷物の中身が現金とばれて留め置きになり、関税を払わないと日本まで届かない。代わりに関税を払って」と言われ、指定口座に70万円を振り込んだ後、連絡が途絶えた。
東洋大の桐生正幸教授(犯罪心理学)はSNSでの詐欺被害が多発する背景について「コロナ禍で人に会えないこともあり、自分を認め、愛してくれたり不安を解消してくれたりする存在に頼りたくなるのでは」と指摘する。
被害を防ぐ注意点として「犯人との会話には必ず、お金の話を持ち出し、情に訴えてくる分岐点がある。本当に好きならお金は求めてこないと、冷静に見極めてほしい」と話している。