高齢者を狙い、高額な海産物を送る約束をして、安価な商品を送りつける悪質商法が増えている。コロナ禍での厳しい経営を助けてほしいと涙ながらに購入を促す「泣きつき商法」の手口が目立つという。日本海の冬の味覚ズワイガニなど旬の海産物が出回る時期で、新型コロナウイルスの感染が拡大していることから、国民生活センターは同様の手口が広がる恐れがあるとみて警戒を呼びかけている。
九州北部の60歳代女性は昨年11月、漁業関係者を名乗る男から電話で「コロナ禍で海産物の売り上げが低迷している。どうか助けてほしい」と泣きながら求められ、エビとカズノコが入ったセットを1万5000円で購入することにした。
しかし、届いたのは安価なホッケやホタテ。代金引換のため、女性は宅配業者に支払ったが、後に男に返金を求めて電話すると、つながらなかった。
消費者庁によると、特定商取引法に基づくクーリングオフ制度により、商品と一緒に届く契約書を受け取った日を含め8日以内に契約を解除することができる。しかし、購入した高齢者は家族に迷惑がかかると考え、誰にも相談せずに黙っていることが多いという。
国民生活センターによると、海産物の購入に関する相談件数はコロナ禍前の2019年度は1652件だったが、今年度は1月4日までの約9か月で2倍以上の3392件に上った。相談者の約7割が60歳以上。観光地で魚介類を購入する機会が激減していることに目を付けたとみられる。相談は20年2月頃から増えており、コロナによる苦境をうたい文句に買わされた相談が多いという。
広島県でも今年度の相談が前年の約1・6倍に上り、同県消費生活課の担当者は「善意につけ込んだ悪質な方法」と話す。
こうした悪質商法は特定商取引法違反に当たる可能性がある。国民生活センターは「勧誘の電話はきっぱり断る。不審に思ったら家族らにすぐに相談してほしい」としている。