修学旅行、一転キャンセル ガイドため息 沖縄・まん延防止決定

新型コロナウイルスの感染者が急増している沖縄、山口、広島の3県に7日、まん延防止等重点措置が適用されることになった。沖縄では修学旅行などの予約が相次いでキャンセルとなり、3県の対象地域では飲食店にまたも営業時間の短縮などが要請された。「やっと日常が戻り始めたのに」。関係者からはため息が漏れた。
「ようやく平和ガイドの予約が増えてきたところだった。がくぜんとしている」。修学旅行で沖縄を訪れる生徒たちに太平洋戦争末期の沖縄戦の戦跡を案内してきた「沖縄県観光ボランティアガイド友の会」の高嶺典子事務局長は、感染の急激な再拡大に衝撃を隠しきれない。
友の会の運営は窮地に立たされている。コロナ禍前の2019年度は1070校の修学旅行生を案内したが、20年度は66校に減少。21年度は国の緊急事態宣言が約4カ月続き、21年9月末までわずか1校にとどまった。21年11月からは「22年度の事務所運営費が捻出できない」として寄付を呼び掛けている。
これまでに約200万円の寄付があり、感染の沈静化に伴って21年11月からガイドの機会も増えた。22年1~3月も約60校の予約があったが、状況は一転。年明け以降、既に数校からキャンセルの連絡が入った。高嶺さんは「延期に延期を重ねた末に、年度の最後に沖縄を訪れる計画だった学校も多いが、この状況では怖くて来ることができないだろう。中止や行き先の変更が相次ぐのではないか」と肩を落とす。
友の会では沖縄戦の教訓を伝えようと、当時、住民が避難した「ガマ」(自然壕(ごう))などを案内してきた。高嶺さんは「何万人もの生徒が沖縄戦を学ぶ機会を失う。残念でならない」と語る。
「かかってくる電話はキャンセルの連絡ばかり。がっくりきている」。那覇市のホテルの宿泊セールス担当者は意気消沈する。1月は300人以上の修学旅行の予約が複数校入っていたが、相次いで取りやめとなり、延べ1000泊分が消えた。団体旅行や個人旅行のキャンセルも含め、稼働率ベースで6~7%のダウン。「昨秋以降、少しずつ予約が伸びて少しほっとしていたのに……」
県は、9日から感染防止対策が施された認証店は午後9時、非認証店は午後8時までの営業時間短縮を要請し、酒類の提供は認証店のみ午後8時まで認める。
那覇市中心部で認証を受けて営業する居酒屋「琉球海鮮りーさん堂」の店主、李植川さん(48)は「やっと昨年11月ごろから客足が通常に戻ったのに、2、3日前から新年会のキャンセルの電話が相次いでいる」と嘆く。キャンセルは約20件100人弱に上る。
要請に応じて営業時間を短縮するつもりだが「時短要請に従わない店に客が集中するよりは、席数を半分にするなどの感染防止対策をさらに徹底して、通常営業を認める方法もあるのではないか」とも話した。【遠藤孝康、竹内望】
「観光上向いたのに」山口は岩国など適用
山口県では、米軍岩国基地がある岩国市と隣の和木町にまん延防止等重点措置が適用される。県は、感染防止対策で認証を受けている飲食店でも午後8時までの営業時間短縮と酒類の提供停止を要請するとしており、対象地域にある飲食店と喫茶店計約1000店が要請対象になる。
岩国市麻里布町で米軍にも人気のハンバーガーレストランを経営する原田慎也さん(33)は「感染者増加が発表されて以来、町に客が寄りつかない状態だ」と肩を落とす。認証店ではあるが「お酒を出すとか出さないとかの以前に、店を開けても客が入らない」と嘆き、重点措置の期間中は休業することを決めた。
同市には国の名勝「錦帯橋」や岩国城下町などがあり、観光業も盛り返してきたところだったという。市観光協会の米重良治事務局長(60)は「『第5波』が過ぎ、観光業もやっと上向いてきたところなので(重点措置適用は)残念だが、やむを得ない」と力なく語った。【大山典男】