入試オミクロン対策「手厚い対応」も不公平感どう払拭 大学側は困惑

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の影響が広がる中、文部科学省が11日に発表した受験生の新たな救済措置は、入試では異例の本番直前のルール変更となった。大学入学共通テストを受けられなかった場合、個別試験のみで合否判定が受けられるなどの手厚い対応が示されたが、「不公平感」をどう払拭するのかといった課題が浮かぶ。本番直前に新たな対応を迫られる大学側からは困惑の声も。今年も大学入試が新型コロナ禍に翻弄されている。
受験生に安心感を
「一人でも多くの受験生の受験機会を確保する」
末松信介文科相は11日の閣議後記者会見でこう繰り返した。
ただ、救済措置には課題もある。例えば、競争率の高い国公立大では、共通テストの結果で門前払いする「二段階選抜」を行う学校も多いが、追試を含め、共通テストを受験できなかった場合の制度設計は大学側に個別に委ねられている。
個別試験は、すでにほぼ全ての国公私立大が追試や振り替えを設定している。今回の措置は、それら全ての機会を、新型コロナを含む病気やけがで逃したとしても、高校の調査書や面接といった「総合型選抜」などによる再追試を設けるよう各大学に求めた形だ。異例の対応は「最大限のセーフティーネット」(末松氏)を提示し、受験生に安心感を与える狙いがある。
救済措置が健康な受験生の筆記試験回避に悪用されないよう、活用する場合は医師による診断書などを求める考えだが、医療提供体制が逼迫して入手できない場合は「自己申告でも対応可能」(文科省)とする。
該当者は限定的
救済措置にどれだけの受験生が該当するかは見通せない。昨年の共通テストは流行「第3波」の中で、第1、2日程という2回の本試験を設定。約48万人が受験したが、両日程とも受けられず「特例追試」に回った受験生はわずか1人にとどまった。文科省は、今回の該当者についても、複数回のコロナ感染など極めて珍しいケースに限られるとみている。
文科省は昨年末、オミクロン株感染者の濃厚接触者に関して、無症状でも受験を認めないとする対応を公表。批判が集まって撤回に追い込まれた経緯がある。今回はその〝反省〟から手厚い対応を選択した形だ。
受験機会に差も
もっとも、入試に新たな要素が加わることに、受験生を含む当事者からは困惑の声が漏れる。
東京都内に住む私立高3年生(18)は文科省の方針に理解を示しつつ「大学ごとに門前払いのラインや共通テストと個別試験の得点配分が異なる。救済を受けなかった受験生が不利にならないようにしてほしい」と要望。「もっと早く救済措置について通知することができなかったのか」と対応を決めたタイミングを疑問視する。
都立西高(杉並区)の萩原聡校長は「昨年より一歩進んだ。救済の機会を与えてもらえるのはありがたい」と歓迎した。ただ、個別試験のみの合否判定は「対応できる大学とできない大学が出てくるのではないか。志望大学によって、受験機会に差が出る可能性もある」と懸念する。
急ピッチの対応を迫られるのは大学側だ。関東地方の国立大は「(共通テスト開始までに)具体的に受験生に示さなければ不公平が生じる」と指摘。「どこまで対応できるか。受験生の不安を取り除くための文科省のリップサービスで現実性に欠ける発言だ」と批判した。
京都府内の私大の入試担当者は「すでに入試に向けたいろいろな準備をしてきており、今の時期では新しい対応が難しい。本学も共通テストが利用できる入試を実施しているが、本試験と追試験でおおむねカバーできるのではないか」とみている。