「3次会のバー」は私用か業務か 上司のセクハラで適応障害、初の労災認定が投じる一石

会社の公式行事として開かれた飲み会の後、3次会で上司からセクハラを受け適応障害を発症したと訴えた30代女性について、大阪地裁が12月、「労働災害」と認定した。労災認定の要件は、業務に起因して障害などが起きたと認められること。自由参加の2次会以降は「業務ではない」と判断されることが多く、女性の代理人弁護士によると、3次会のセクハラが労災認定されるのは初めてという。今回認められた要因はどこにあったのか。
バーでキス強要
原告女性は当時、東京に本社を置くIT関連企業の西日本支社に勤務。令和元年6月、本社の経営計画発表会のために出張し、発表会後に会社主催の懇親会に出席した。
その後、3次会で支社長を含む計4人でガールズバーに行った際、支社長からバーの女性店員とのキスを強要されるなどした。セクハラ発言は日常的にもあり、女性は体調を崩して翌7月末から出勤できなくなった。
女性は労働基準監督署に8月末から約1カ月分の休業補償を求めたが、労基署は3次会への参加は「個人の意思」という従来の判断を踏襲。労災には当たらないとして給付を認めず、女性は訴訟に踏み切った。
判決「誘い断るのは困難」
訴訟の焦点は、女性の適応障害が事業主の支配下にある状態で起きたという「業務遂行性」が認められるか否か。大阪地裁(中島崇裁判長)は7年12月15日、これを認めて不支給処分を取り消した。
判決理由で地裁が重視したのは、女性が3次会に参加した経緯だった。
女性が結んでいたのは6カ月間の有期雇用契約。支社長は女性を正社員に登用するかどうかの判断に強い影響力を持っており、出張前には「夜の予定は空けておけ」と指示もしていた。
地裁はこれらを踏まえて「誘いを拒絶することは事実上困難」と指摘。3次会への参加は業務そのものではない「私的な行為」としつつ、社命による出張中という状況も含めて「業務遂行性」を認めた。
女性は会社と支社長に損害賠償を求める訴訟も起こし、165万円の支払いを命じる判決がすでに確定している。女性の代理人を務めた位田浩弁護士(大阪弁護士会)は「2次会、3次会でも状況によって労災になることが明確となった」と判決の意義を強調。「軽率な言動には気をつけるべきだ」と話す。
上司世代、飲み会敬遠も
忘年会、新年会、歓送迎会-。この時期は職場の飲み会が重なるシーズンだが、コンプライアンス(法令順守)を重視する風潮の中で、むしろ上司世代が飲み会を敬遠している、というデータもある。
転職サービスを展開するパーソルキャリア(東京)の「Job総研」が421人から回答を得た調査では、7年中に職場で忘年会が開催されると回答したのは69・1%。実施率は新型コロナウイルス禍前の元年(46・1%)を大きく上回った。
「参加したい」と回答したのは、20代が最多で71%。30代=57・8%▽40代=55・1%▽50代=48・3%-と、年長になるほど参加意欲は下がっていた。
最も低かった50代では消極的になる理由として「プライベートを優先したい」(34・6%)に次いで、「飲み会のノリについていけない」(21・2%)を選んだ人が多かった。
「飲み会での発言リスク」を指摘する声もあり、同社広報の高木理子さんは「『ハラスメントリスク』に対する意識の高まりで安易に話題に入り込めず、心理的な壁を感じていると読み取れる」と説明する。ただ上司世代が気をつかうことで、逆に若手はつながりを感じる場として飲み会を歓迎するようになっている面もあるという。
普段からの関係構築が重要
ビジネスコミュニケーションに詳しい龍谷大心理学部の水口政人教授は上司世代を「飲み会で人間関係をつくって仕事につなげてきた世代」とみる一方、コロナ禍を経て社会に出た若手は「飲み会のコミュニケーション経験値が低い」と分析。世代間ギャップに加え、ハラスメントに敏感な風潮から上司世代が「飲み会を怖がるようになってきた」と感じている。
水口教授は、飲み会は職場の活性化を図る有効な手段になるとした上で「あくまで日常の延長線上にあるもので、普段から関係の土台を作っておくことが必要だ」と強調。飲み会での上司世代の〝会話術〟として、8割は部下に話をさせる▽自己開示を強要しない▽仕事の話はポジティブ面のみにする-という3点をアドバイスした。(永井大輔)

《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは

「彼女らしい生き方、幸せを心から願っています」──秋篠宮妃・紀子さまが59歳のお誕生日に発表された文書には、次女・佳子さまの結婚や将来についてこのように記されていた。昨年、58歳の誕生日を迎えられた際にも登場した一文だった。
今年の佳子さまの活動を振り返ると、6月の「外交関係樹立130周年」を記念したブラジルへの公式訪問をはじめとして、5月の岐阜県や8月の広島県、10月の香川県や滋賀県など各地を飛び回り、”公”の面で非常に多忙な一年間を過ごされてきた。一方で、「公務における”私”についても、考えさせられる出来事が多かった一年でした」と語るのは、皇室担当記者だ。
例えばブラジル公式訪問では、現地を移動される際に、飛行機の座席で束の間の休息をとられる佳子さまの”寝顔”が撮影されるアクシデントが起きた。 「夜の国内線フライトで、エコノミークラスの座席で同乗した乗客がそのお姿を撮影したようです。さらにSNSに投稿されて大きく拡散。海外メディアにも報じらました。
秋篠宮さまは11月25日、還暦の誕生日における記者会見の中で、この騒動を例に挙げたSNSの課題に関連する質問に、『(SNSにおいて)”公的な立場”と”生身の人間”を分離するのは非常に難しい』といった考えを述べられています」
ファッションでも見せた”佳子さまらしさ”
佳子さまとSNSを巡っては、公務でのお召し物についても話題に。ご本人が行事に参加されるたびに、メーカーに注文が殺到する”佳子さま売れ”現象が起きたほか、10月8日に滋賀県彦根市で開催された「第79回国民スポーツ大会(国スポ)」総合閉会式での装いには「ボディラインが”クッキリ”しすぎている」といった心配の声がSNSで上がった。
「”公”の場でも、”私”や”個性”が前に出ているのが、佳子さまのコーディネートの特徴と言えるかもしれません」──そう指摘するのは、ファッション編集者の軍地彩弓氏だ。軍地氏が、2025年の佳子さまのファッションを振り返りながら語る。
「例えば、国スポの装いはジャージ素材を使用したブルーのワンピースでした。ジャージー素材は、歴史を辿れば、初めてファッションにこの素材を取り入れたのは『ココ・シャネル』。背景には、当時、活動的になった女性たちが動きやすく手頃でおしゃれな服を求めたことがあります。ストレッチ性や快適性を求めた素材なので、ボディーラインを拾いやすいわけです。

初日の出が見られそうなエリアは? 元旦は雲多め バッチリのところは少ない予想

いよいよ今日は大みそかです。2026年の元旦には初日の出が見られるでしょうか。

初日の出の天気見解と全国各地の初日の出時刻をご紹介します。
1月1日朝 元旦の天気は
大みそかの12月31日(水)夜~元日の1月1日(木)朝にかけては、日本付近は緩い冬型の気圧配置となっている予想です。このため、北日本~山陰にかけての日本海側の地域は雲が多く、北日本や北陸では雪や雨の降るところも多い予想です。元旦に初日の出を見るのは難しそうです。沖縄や奄美も湿った空気の影響を受けやすく、雲が厚くなる可能性が高めです。

太平洋側の各地や九州などは晴れ間が期待できるものの、空には雲が散在する状況が予想され、すっきりとした冬晴れが確実なところは少ない予想です。関東も沖合に雲が広がる可能性があり、水平線から昇る初日の出が見られるかどうかは微妙な状況です。

北海道の道東や、東海~西日本の太平洋沿岸は、比較的雲の影響を受けにくい状況が期待できます。随時最新の天気予報をチェックしておくのがオススメです。
例年より冷え込みは弱めでもしっかりと防寒を
寒気の影響を受ける北海道や東北北部は冷え込みますが、東日本や西日本の各地は雲の影響で放射冷却現象の効きが弱く、元旦の冷え込みは例年よりは少し弱めの予想です。

予想最低気温は東京や大阪、名古屋で3℃と、平年値と比べれば同等か2℃程度高い予想となっています。

とはいえ、屋外でじっとしていると想像以上に寒く感じますので、初日の出を見にお出かけの場合は防寒を万全にしてください。
全国各地の初日の出時刻を紹介
日本で初日の出が見えるのは南東側の地域ほど早く、時間帯は6時45分頃~7時30分頃と幅があります。初日の出の時刻も事前に要チェックです。

なお、日の出時刻は水平線・地平線から太陽が出てくる時刻ですので、東南東の方角に山や建物のある場所では、太陽が見られるのはこれよりも遅くなります。

参考:国立天文台 初日の出情報

「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤紗希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」

同居する交際相手男性・Aさんの乳首や指を切断したなどとして、傷害の罪で逮捕、起訴された佐藤紗希被告(23、2025年4月の逮捕当時)。その第3回公判が12月10日、大阪地方裁判所で開かれた。
起訴状によると、佐藤被告は事件当時21歳だったAさんの左乳頭を切断し、加療10日間を要するケガを負わせた件、斧で左薬指を切断し回復不能としたケガを負わせた件、さらに拳で耳や鼻付近を複数回殴打し、加療3日間のケガを負わせた件で逮捕、起訴されている。
コスプレイヤーとしても活動していた佐藤被告。これまでの公判で、被告人はすべての起訴事実を否認しており、Aさんの証言の信用性が重要なポイントとなっていた。出廷したAさんの証言からは、乳頭と指の凄まじい切断状況が詳らかにされた。
なぜ暴力を受けながら、Aさんは佐藤被告と離れることができなかったのか裁判ライターの普通氏がレポートする。【全3回の第3回。本文には一部ショッキングな犯行態様が含まれます】
鈍器の購入を拒んだら…
3件目の事件は、2025年1月にAさんの耳や鼻付近を複数回殴打されたというものだ。この事件について佐藤被告は、「Aから首を絞められたので殴り返した」「ケガを負わせたとは思っていない」と正当防衛とケガの因果関係への疑義を主張している。
Aさんの主張によると、過去に佐藤被告は海外で耳の骨を使った鼻の美容手術をしていたという。その術後の痛みが激しかったため「お前も同じとこを痛くする」「拒否ったら鼻の骨を折ります」などと告げたという。
初めは、殴るための鈍器を買いに行くなどと誘われたが、断ったところ、鼻と耳ともに10回ずつ殴らせることに落ち着いた。
今回の事件以外にもAさんは暴行を幾度も受けていたため、このときには佐藤被告に「行くよ」と言われたら、自然に浴室に行くことと理解していたという。服を脱ぎ、全裸で浴槽の中でしゃがんで佐藤被告の方を向いた。
飼い犬の首を絞めて…
佐藤被告はAさんの髪の毛を掴んで、右手をグーにして数字を数えながら耳を殴っていった。華奢な佐藤被告であるが、殴られれば当然痛い。声をあげると、黙るよう言われたり、数を増やされたりするので、最終的に何回殴られたかはわからなかったという。
耳への打撃が終わり、次は鼻を殴られ始めた。鼻の痛みは耳とは全然違って、Aさんはすぐに声をあげたという。何度かすると、佐藤被告は声がうるさいとして怒って部屋に戻ってしまった。

脱走したオオカミ、植栽つたい壁飛び越えたか…多摩動物公園で1月2日から別の場所で展示

多摩動物公園(東京都日野市)で28日、飼育中のタイリクオオカミ1頭が一時脱走した問題で、同公園は30日、オオカミは展示スペースの擁壁に生えた植栽をつたうなどし、壁を飛び越えて逃げたと推定されると発表した。
発表によると、飛び越えたとみられるのは、オオカミと隣接するモウコノウマの展示スペースを隔てる壁。同園は脱出防止策を講じるまでこの展示スペースの使用をやめ、園内の他の飼育展示施設については安全を確認したとしている。
同園は来年1月2日から通常通り開園し、オオカミも別の場所で展示する。逃げたメスの「スイ」は捕獲後、飼育舎で元気に過ごしているという。

温泉旅館のごみ置き場にクマ出没「ごみをあさっている」、緊急銃猟で駆除…けが人なし

30日午前10時50分頃、仙台市青葉区作並の温泉旅館「大江戸温泉物語Premium(プレミアム) 仙台作並」で「クマがごみをあさっている」と従業員から110番があった。クマは建物地下のごみ置き場に居座り、仙台市は、現場が住宅街に近いことなどから緊急銃猟の実施を判断。約5時間後に駆除した。旅館は営業中だったが、客や従業員にけがはなかった。
仙台北署や市によると、駆除されたのは体長約65センチの雄の子グマ1頭。クマは旅館の建物わきのスロープなどからごみ置き場に入った可能性がある。
同署は、宿泊客らに露天風呂の利用や外出を控えるように伝えた。午後3時54分、ハンターが散弾銃で1発発砲し、駆除した。
仙台市内での緊急銃猟は10月に続き2例目。

衆院の女性トイレ増設、超党派の女性議員有志が求める…男性用便器67個に対し女性用22個

超党派の女性衆院議員の有志が、衆院内の女性用トイレの増設を求めている。昨秋の衆院選で当選した女性は過去最多の73人となった一方、女性用トイレは男性用に比べると少なく、待ち時間が長くなることで、議員活動に影響が出かねないためだ。
国会議事堂が完成した1936年には女性に参政権がなかった。女性の政界進出にあわせ、女性用トイレの設置が進み、衆院本館全体では、現在男性用12か所、女性用9か所だ。ただ、便器数で見ると、女性用は22個で、男性用の67個より少ない。本会議場近くの女性用トイレは1か所で、便器は2個しかない。
女性議員12人が今月、浜田靖一・衆院議院運営委員長に提出した要望書では、「混雑や待機時間の発生が日常的」「議事進行や職務遂行にも影響を及ぼしかねない」などと指摘。「来年度のできるだけ早い時期」に本会議場付近などに増設するよう求めた。
高市首相を含む女性議員の約8割にあたる58人が賛意を示しており、呼びかけ人の小宮山泰子衆院議員(立憲民主党)は「トイレを諦めたり我慢したりすることもある」と記者団に訴えた。浜田氏は「前向きに議論する」と応じたという。

なぜ2025年はクマ被害相次いだ?猟師が感じる“違和感” 冬眠に入るクマは歩いた痕跡を消す… “唯一の天敵”猟師から身を守るため【大石が聞く】

クマが人間の生活圏まで相次いで出没した理由は何なのか?その答えを求めて、岐阜県高山市に向かった。ただ、それは国や専門家らとは真逆の答えだった。
高山と言えば、飛騨の小京都と呼ばれ、外国人観光客が押し寄せる人気観光地だが、今年はクマも多数姿を見せた地域だ。
冬眠に入るクマは歩いた痕跡を消す
その高山市内で親子で猟師を生業としている脇谷雅彦さん(64)と息子の将斗さん(39)を取材した。父はこの道46年、若手の教習射撃指導員をしている大ベテラン。
息子は、父の猟をする背中を追いかけてきた若手猟師で、約10年のキャリアを積んでいた。2人とも地元の猟友会のメンバーであり、市街地でも引き金をひく可能性もあるため、経験と実績、そして何より的中率の高いウデが必要な緊急銃猟の中心的な猟師だ。
2人と共に真っ白な山に向かった。麓の積雪は20センチ程度だったが、山はその2倍近い積雪となっていて、太陽に照らされキラキラ輝いていた。父はライフルを、息子は散弾銃を背負って、標高1000メートル以上の山に入ると、ニホンカモシカが木々の間から顔を出していた。小動物の足跡もいくつかあったが、クマの足跡は見当たらなかった。
新たに雪が積もったからとも考えられるが、そもそも冬眠に入るクマは歩いた痕跡を消すという。理由は猟師から仕留められないためだ。野生の世界では無敵のクマの唯一の天敵は、クマの領域に入ってくる猟師なのだ。
もともと警戒心の強いクマを、より慎重にさせたのは猟師の存在かもしれない。足跡こそなかったものの、実は、まだ冬眠していないクマもいると聞き、リスクを考えて下山した。
罠のドラム缶を破って逃げた強者も
クマの罠も見せてもらった。ドラム缶を利用したトンネル型の仕掛け罠で、入り口付近には好物のハチミツを置き、さらに行き止まりのトンネルの奥にもハチミツを置いて誘導する作戦だ。
奥にあるハチミツ付近には、踏み台の様な板があり、それを踏むと後方の鉄板が落ちて、クマが閉じ込められるという。ただ、爪が鋭く、牙も鋭利で噛む力も強いため、そのドラム缶を内側から破って逃げた強者もいたという。
その罠を見せてもらったが、鉄製のドラム缶が1メートル近く裂けている様を見て、クマの破壊力を実感せずにはいられなかった。その裂けた穴の周辺には真っ黒なクマの体毛が付着していて、猟師から逃げようとする必死さも伝わってきた。果樹園などからの要請を受けて罠を仕掛けるというが、今年は例年の倍近い5頭が罠にかかったという。
「クマは増えていない」
しかし、脇谷親子は、山や罠でクマを仕留めたりする中で、ある違和感を覚えていた。実は、自分たちが管理している山の中ではクマは増えていないというのだ。
一方で専門家らの一般的な見解はこうだ。去年はドングリなどが豊作でクマも出産ラッシュとなり、頭数が増えたが、今年は凶作だったため、エサが足りず、人里まで降りてきたのでないか。しかし、クマ猟師として連日山に入る脇谷親子は「クマの絶対数は変わっていないのではないか」と推測している。
ただ、エサがないため人里へやってきていて、そこで人目に触れるため、クマが増加していると錯覚しているのではないかというのだ。去年産まれたクマが多いのなら、山でも罠でも相対的に若いクマが捕獲されるケースが多いはずだが、仕留めるクマはほとんどが5歳以上だからという。もちろん、東北を中心に全国的に増加傾向にあるクマだが、猟師が定期的に山に入る地域によっては、事情が異なるのかもしれない。
人を襲う被害が出ているため、駆除は必要かもしれないが、行き過ぎた駆除はクマの過度な減少を招くのではないかと、猟師の脇谷親子は不安を口にしていた。
皮を剥がされたクマ
山の麓にあるクマの解体工房にも潜入した。扉を開けると、皮を剥がされたクマが吊るされていた。内臓も取られ、血抜きも済ませ、解体を待つばかりのクマで、体調1メートル、体重は約100キロ。全身の9割は淡いピンク色に染まっていたが、それが脂肪で、冬眠を前にエサを食べ脂が乗った状態になっていた。
この脂肪があるから、これをエネルギーに変えながら、長い冬眠にも耐えられるというのだ。ただ、この脂の乗り具合を見て、山の状況が見えるのだと教えてもらった。
この脂の厚みが10センチほどあれば、エサを充分食べたクマ。僅か数センチしかなければ、あまりエサを食べられなかったクマという証なのだ。
私が目の当たりにしたクマは、全体的に脂は薄く、エサは充分には食べられなかったと思われる。だから、エサを求めて人里まで降りてきたのだが、そこで捕獲されてしまったのだろう。解体したからこそ分かる、今年の山とクマのエサ事情ということか。
クマしゃぶしゃぶ どんな味?
脇谷さんが手掛けるジビエ料理店も訪れ、クマしゃぶしゃぶ、串焼き、ソーセージを頂いた。血抜きが巧みだからか、臭みはなく、弾力や甘みもあり、赤身の牛肉に似ていた。
クマしゃぶしゃぶを見て驚いた。脂が10センチほどあり、赤身の部分は僅かだったからだ。これはエサもよく食べられ、あとは冬眠に入るのを待つばかりのクマだったのだろう。融点も低いため、口溶けもよく、甘みと旨味が凝縮されていた。
あの野性味溢れる姿とは想像がつかないほど、繊細で上品な味だった。その味を堪能しつつ、あることが脳裏に浮かんだ。「本当は山で暮らしたかっただろう」と。
クマが冬眠から目覚める前に…
自衛隊や警察も出動し、自治体独自の判断で緊急銃猟も行われた2025年。しかし、それはあくまでも対症療法であり、駆除するだけでクマ対策の根本的な解決には至っていない。
以前のように、クマと人間が共存する暮らしを復活させるにはどうすればいいのか?クマが眠りから覚める前に考えたいものだ。これを解決しない限り、来年2026年もクマに振り回される1年になるのは間違いないだろう。

【戦後80年所感】自民党内から反対論も…石破前首相がこだわった“理由” 「“今なら絶対起きない”と言えるのか」

戦後80年の節目にあたった2025年、「80年所感」を発表した石破茂・前首相。自民党内からも様々な反対論があがる中、所感発表にこだわった背景には、どんな思いがあったのか。日本テレビのインタビューに応じた。(聞き手 日本テレビ・伊佐治健)
政治の師であった田中角栄先生が、「あの戦争に行ったやつが、この国の中心にいる間は日本は大丈夫。そういう人たちがこの国の中心からいなくなったときが怖い。よく勉強しなければならない」とおっしゃっておられた。
15歳で昭和20年に従軍された方は、今、95歳。まだご健勝の方も大勢おられると思うが、あと10年経つと本当にいなくなる。80年に一つの考え方を内閣総理大臣として出すのは大事なことだということがありました。
戦後50年の村山談話、60年の小泉談話、70年の安倍談話。それぞれよく練られたものである。しかし、それは主にアジア諸国に対する謝罪というものがメインであった。
なぜあの戦争に突入したのか。安倍談話の中で、戦前の政治システムはそれを防ぐことができなかったとさらっと書いてある。なぜできなかったのか。今なら絶対に起こらないと言えるのか。こういう思いがあって、私としては、何が何でも出したいという思いがあった。
――日本は、戦争遂行について困難だとわかっていたのに、突き進んでいってしまった。何度も止めるチャンスがあったのに、戦争をやってしまった。
大日本帝国憲法では、主権者は天皇だった。しかし、天皇は無答責、責任を負わない。すると、誰が責任を負うのということがよくわからないままに、ずっと日本は進んでいった。日清戦争に勝ち、日露戦争に勝ち、第1次世界大戦で戦勝国に連なっていったが、日本国や、大日本帝国憲法の曖昧だった点を補ってきたのは元老という存在だった。それが1人、2人といなくなると、誰が責任取るのかわからないという体制のままで、政府は動いていた。
そうすると、大きな声とか勇ましい議論とかが幅を利かせるようになります。総力戦研究所が、「GDPが10倍も違うアメリカと戦争して勝てるはずはない」と言っていたわけだが、それでもなぜ突き進んだのか。
東条英機元首相は、「人間ときには清水の舞台から飛び降りることも必要」あるいは、「偶然の要素というものも考えなければいかん」と言った。そういう精神論、大きな声に左右されるという面があったと思う。
そして、議会はどうだったか。戦争中は特別会計だったので、ほとんど予算審議がなされていない。戦争の目的、あるいは、戦争の終わらせ方について問うた斎藤隆夫は議会を除名になった。議会は何の役割を果たしたか。メディアも、新聞やラジオは目一杯、戦争を煽っていた。
ですから、政府も議会もメディアも歯止めたりえなかった。翻って現在はどうなのか。政府はどうなんだ、議会はどうなんだ、メディアはどうなんだ、と。「絶対大丈夫」だというふうに言い切れるのか。(80年所感では)その問いかけを国内に向けてしたかったということです。
――高市首相は責任ある積極財政を打ち出しながら、「財政規律の目配りしながら」と、自身に釘を刺しています。かつて“戦争国債”を乱発し、軍事費に投入していった日本の反省みたいなものが、この財政規律、プライマリーバランスというものの背景にあると思う。財政構造の在り方に懸念は覚えられますか?
財政は常に健全であるべきだと、私は思っています。安全保障は常に「万が一の事態」を想定しながら構築されるべきもので、本質はそういうものだと思っています。たとえ確率は低くても、仮に起こったときに甚大な被害が生ずる。なので、それが起きないように政策立案しなければならない。
ですから、財政を拡大し、そしてまた国債を多く発行し、MMT理論のように「自国通貨を発行していれば大丈夫」なんだと、「海外にもいっぱい資産はあるんだ」というような話は、リスクを過小評価しているんじゃないかなと思えてならない。
国会の重要な機能は、予算を審議すること。今、防衛費が突出していると言われるが、むしろ今は社会保障費の方が大きなウエートを当然占めている。ただ、これだって財源が無尽蔵にあるわけでもない。そうすると議会としては、政府が仮に国家財政というものを毀損するような予算を組んだとするならば止めていく、というのが役割です。だから(高市)現総理が、責任ある積極財政と言っていますが、「責任ある」というのは具体的にどういうことなのか。これから先、議論されることになるんでしょうね。
23年前、初めて防衛庁長官を拝命したとき。シンガポールでの国際会議に行った時、リー・クアンユー・元首相から呼ばれて、かなり長い時間、一対一で話しました。「石破さん、あなたは前の戦争で、日本がシンガポールに対して行ったことを知っていますか」というふうな問いかけを受けました。
シンガポールを「昭南島(しょうなんとう)」と名前を改め、アジア軍政の中心地として位置づけ、そして、昭南神社という神社を建立し、神道の普及に努めた、ということが教科書に書いてあったので、そういうふうに申し上げた。
すると、「あなたは、それしか知らないのですか。それでは、これから先、日本とシンガポールと信頼関係は難しいですよ」という意味のことを言われたのです。
その時からずっと思っていることですが、(戦争責任について)「謝罪する」「しない」は国の方針もあり、その人の考えもあるでしょう。しかし、日本がシンガポールで、インドネシアやフィリピンで、マレーシアでどのような軍政を敷いたのか。台湾が日本の領土であったときに、どのような統治が行われたのか。戦争末期、台北でも台南でも、米軍による大爆撃を受けて、大勢の人が死んでいる。そのことについてどれだけ認識があるのか。
何が行われたか、ということを知らないで、これから先も信頼関係が維持されるとは、私は思わないですね。
――戦前の日本のように、日本が自ら他国を侵略する可能性は、極めて低いと思います。一方で、戦争に巻き込まれていくリスク。特に台湾情勢や尖閣諸島、日本の一番の近海において、戦争に巻き込まれるリスクをどう考えますか。
人類の歴史はずっと戦争の歴史だった。戦争は、別に人の心が邪悪だから起こるというよりも、領土であり、宗教であり、政治体制の違いであり、あるいは経済格差であり、いろんな戦争のシーズ(種)が世の中には山ほどある。また、今の時代はテロ組織など、国家ではない主体が、かつての国家のような破壊活動が行うことができる。非常に難しい時代に入っていると思っています。
そういう複雑な政治状況、国際環境にあって「こういうわけで戦争になった」と、きちん理由を説明できる戦争の方が少ないんだと思います。やはり偶発的なことから、大きな戦争に拡大していく。第一次世界大戦なんかその典型ですが。
そうすると、偶発的なことから大きな戦争に発展する、あるいは偶発的なことを利用して、大きな戦争に導こうとすることも常にある。それを回避するのは、やはりトップ同士の意思の疎通ということだと思っています。私も首相は1年だけでしたが、G7については、頻繁に連絡を取り合っていた。特にアメリカとはそうだ。じゃあそれが例えば日中において、そういう関係が構築されているかというのは、常に検証が必要なことだと思いますね。
――国のリーダーを務められて、日本が二度と戦争しない、させないための、思いとして、1番大事なことは何でしょうか。
自分たちに何ができて、何ができないのか。同盟に何ができて、何ができないのか。
日本を取り巻く、ロシアや中国だったり、北朝鮮であったり。考え方を一致させることは難しい、国益が異なるそういう国家との間で、戦争を起こさないということについての認識が共有できるかということじゃないでしょうか。
やはりお互い人間ですから、好き嫌いもある。しかしながら、常に国益を背負っているトップ同志が国益というものを実現する、それは戦争を回避するということです。その一点においていかに意思疎通が図られるか、ということが極めて大事だと思いますね。

「言葉かみしめ、遺志継ぐ」=共産・志位議長が談話―不破さん死去

共産党の不破哲三前議長の死去を受け、同党の志位和夫議長は30日、「理論的、政治的に大きな仕事をした大先輩を失ったことは、深い悲しみだ」とする談話を発表した。
談話では、不破氏が亡くなる数日前に「もう体力はないが、頭を使って人類が幸福になるために働きたい」と語っていたとするエピソードを紹介。「不破さんらしい言葉をかみしめ、遺志を継ぎ奮闘する決意だ」と結んだ。
党は来年1月5日午後2時から、東京都渋谷区の党本部で弔問、記帳を受け付ける。 [時事通信社]