静岡県警の男性警部補(当時31歳)が自殺したのは長時間労働でうつ病になったのが原因として、男性の両親と妻子がそれぞれ県に損害賠償を求めた2件の訴訟の上告審判決が7日、最高裁第2小法廷であった。三浦守裁判長は、男性の過重業務と自殺の因果関係を認めた上で、「上司は過重業務と認識できたのに注意義務を怠った」と述べ、県の賠償責任を認めた。
2件のうち、妻子が訴えた訴訟では、県側の上告を棄却し、約1億140万円の支払いを命じた1、2審判決が確定した。両親が訴えた訴訟では、両親の請求を認めなかった2審判決を破棄し、賠償額を算定させるために審理を広島高裁に差し戻した。
判決によると、男性は静岡県警の交番で勤務し、うつ病を発症して2012年3月に自殺。自殺直前の1か月の時間外勤務は110時間超だった。県警監察課は「判決を見ておらず詳細なコメントは差し控える。改めて亡くなった職員のご冥福(めいふく)をお祈り申し上げる」としている。
高額療養費の上限額引き上げ、石破首相が見送りを正式表明…「秋までに改めて方針を検討」
石破首相は7日夜、医療費が高額になった場合に患者の負担を抑える「高額療養費制度」について、今年8月からの自己負担の上限額引き上げを見送ると正式に表明した。
見送りを求めてきた患者団体の代表者らと首相官邸で面会後、記者団に語った。首相は、「患者の皆様に不安を与えたまま見直しを実施することは望ましくない」と理由を説明し、「今年秋までに改めて方針を検討し、決定する」と述べた。
今回の決定により、衆院を通過して参院で審議中の2025年度予算案の修正が必要になる見通しだ。首相は、「予算案の衆院通過後にこのようなことを言うのは大変申し訳ないと思っているが、引き続き年度内(の予算)成立に向けて努力していく。極めて厳しい決断だということをご理解いただきたい」と語った。
維新、白井県議に離党勧告 兵庫知事選で立花氏と連絡 百条委採択でも党に背き反対
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題に絡み、日本維新の会の複数の県議が政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏に真偽不明の文書や音声データを漏らすなどした問題で、維新の県組織「兵庫維新の会」は7日、昨年の知事選期間中に立花氏と連絡を取ったなどとして、白井孝明県議を離党勧告処分にしたと発表した。処分は6日付。
維新は、白井氏が立花氏と連絡を取ったことや、今月5日の県議会で、文書問題調査特別委員会(百条委員会)の報告書の採決の際に、会派の決定に背いて反対したことについて、「党の名誉を傷つける行為」などと判断した。白井氏はすでに兵庫維新に離党届を提出しており、7日、県議会の維新会派も退団した。
問題を巡っては、文書問題を調べる百条委の副委員長を務めていた岸口実県議が、告発者の私的情報などが記載された文書を立花氏に渡す場に同席したほか、委員だった増山誠県議が非公開で開かれた百条委の音声データを立花氏に漏洩(ろうえい)。兵庫維新は岸口氏を除名、増山氏を離党勧告の処分とした。岸口氏はこの処分に対し不服申し立てをしている。
元病院長「殺人知らない」と供述 青森地検、犯人隠避罪で起訴
青森県八戸市の「みちのく記念病院」で2023年、入院患者間の殺人事件を隠蔽する目的で虚偽の死亡診断書を遺族に渡すなどしたとして、青森地検は7日、犯人隠避罪で当時の院長石山隆容疑者(61)と、殺害された患者の主治医で、弟の哲容疑者(60)を起訴した。捜査関係者によると、隆被告は「殺人事件が起きたことを知らない」、哲被告は「関与していない」と捜査段階で供述し、否認していた。
また、県と市は病院に立ち入り検査した結果、医師の勤務状況などが不適切だとして医療法に基づき改善勧告したと発表した。
起訴状によると23年3月12~13日、入院中の男=殺人罪で懲役17年が確定=が、同室の男性=当時(73)=に暴行を加え殺害したのを知りながら、共謀して警察署に届け出ず、死因を「肺炎」とする虚偽の死亡診断書を遺族に渡した上、男を閉鎖病棟に入院させ、事件を隠したとしている。
全面禁煙の万博で「喫煙所難民」? 会場外2カ所、収容400人 メタンガスが設置阻害も
4月13日開幕の2025年大阪・関西万博で〝喫煙所難民〟が発生する恐れが出てきた。大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)の会場内は全面禁煙の上、1日最大22万人の想定来場者に対し、会場外に設置される喫煙所は2カ所で収容人数は計約400人。不足を指摘する声もあり、分煙環境が十分に整備されなければ路上喫煙を誘発する懸念も。命と健康を重視する万博のイメージが損なわれそうだ。
日本国際博覧会協会は受動喫煙防止のため、来場者の禁止行為に関する規約で「場内での喫煙」を明記した。一方、喫煙者にも配慮し、会場外に喫煙所を設置することにした。
令和元年に日本で開催されたラグビーワールドカップの東京会場では、来場者4万人に対し、大型喫煙所を2カ所設けたがエリア外での喫煙もあったとされる。
協会は今回、国内の喫煙率などに基づき、会期中の想定来場者2820万人のうち、約2割を喫煙者と想定。5~10分程度利用した場合、約400人分の広さが必要というが、詳細な算出の経緯や根拠は「不明」としている。
喫煙所は東西2カ所のゲートのうち、大阪メトロ中央線夢洲駅近くの東ゲートに隣接した施設2棟にそれぞれ設置し、広さは約200平方メートルと約150平方メートル。400人が同時に利用した場合、1人あたりの面積は約0・9平方メートル弱となり、厚生労働省が目安とする約1・2平方メートルを下回る。
行列や路上喫煙の懸念
関係者は「灰皿のスペースやスタッフの利用も考えると、この広さでは混雑期に長い行列ができるのでは」と指摘する。
シャトルバスなどが発着する「夢洲第1交通ターミナル」近くの西ゲート周辺は、地下に廃棄物が埋め立てられ、可燃性のメタンガスが発生。爆発事故などを避けるため喫煙所設置を断念した。
バスで来場後、喫煙する場合は西ゲート近くから東ゲート近くの喫煙所まで歩いて10~15分程度移動する必要がある。市の条例で、市内全域が1月から路上喫煙禁止区域になり、来場者が路上で喫煙すれば過料千円(行政罰)の対象となる。
協会は会場の分煙環境や条例について「ホームページなどを活用して多言語で周知する」というが、円安が続く中、愛煙家の訪日客に過料千円が〝抑止力〟となるかは心もとない。
変電所で爆発、作業員2人が広範囲にやけど…5000戸が停電
7日午後2時35分頃、岡山市北区の中国電力ネットワーク「富吉変電所」で、トラックに載せた変圧器が爆発し、トラックと変圧器が全焼するなどした。作業をしていた男性2人(61歳、48歳)が広範囲にやけどを負い、病院に搬送された。
岡山西署の発表では、2人は他の作業員らと同日午前9時頃から、変電所の鉄塔とつながる電線を変圧器につないで作業していたという。同署は業務上過失傷害容疑も視野に詳しい原因を調べている。
中国電力ネットワークによると、この事故の影響で、岡山市内の最大約5000戸が最長1時間45分停電した。
集団食中毒で宅配弁当業者を捜索 300人以上が体調不良、死者も
岐阜県岐南町の宅配弁当業者「バイパス給食センター」が調理した弁当を食べ、300人以上が体調不良を訴えている集団食中毒で、県警は7日、食品衛生法違反の疑いで同社を家宅捜索した。捜査関係者への取材で分かった。
県は同日、弁当を食べた40代の男性が死亡したと発表した。男性の便からノロウイルスが検出された。県は死亡と食中毒の因果関係は不明とし、詳しい経緯を明らかにしていない。
県によると、弁当は先月25~27日、男性の勤務先に配達された。男性はいずれかの日に食べ、症状を訴えていた。今月1日に死亡したとみられ、勤務先が同日、「亡くなった」と保健所に連絡した。
捜査関係者によると、同社はノロウイルスが付着した弁当を販売した疑いが持たれている。県警は家宅捜索し、食中毒の原因となった弁当を作った当時の状況を調べたという。
同社は企業などに弁当を配達。県によると、6日現在、下痢や嘔吐など食中毒症状を訴えたのは、男性を含む2~97歳の計320人。7人が入院したが、男性以外に重症者はいないという。
東京都議選、自民党都連4選挙区で公認候補公募も応募者ゼロ…パーティー収入不記載問題が影響か
自民党東京都連が都議選(6月13日告示、22日投開票)の4選挙区で公認候補予定者を公募したところ、いずれも締め切りまでに応募がなかったことがわかった。都議会自民会派による政治資金パーティー収入の不記載問題で、自民への逆風が強まっていることが一因とみられる。
都連は1月31日、全42選挙区のうち23選挙区で、現職や新人ら1次公認候補予定者計26人を発表した。一方、立川市、青梅市、昭島市、小金井市の4選挙区では、出馬を目指す地元の市議らが見当たらず、都連は同31日~2月14日に公募を実施。「200名の党員を獲得し、党勢拡大に尽力できる人」などを条件とし、都内選出の国会議員や都議らでつくる選考委員会が書類審査と面接で選ぶ予定だった。
しかし、締め切り日までに応募はなく、現在も地元市議らが候補者探しを続けているが、擁立のめどは立っていないという。都連関係者は「まさか応募ゼロとは思わなかった」と肩を落とし、「派閥に続き都議会でも不記載問題が判明し、党員確保も難しくなっている。自民から出馬したい人なんていないということだ」と嘆いた。
渋谷区の「ハチペイ」アカウント500件以上不正取得か…容疑でベトナム国籍の男逮捕
決済アプリの本人確認手続きを代行し、他人にアカウントを不正に取得させたとして、警視庁がベトナム国籍で東京都荒川区、専門学校生の男(20)を私電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕したことがわかった。男らが渋谷区のキャッシュレス決済アプリ「ハチペイ」のアカウント500件以上の不正取得に関わったとみている。
捜査関係者によると、男は仲間と共謀して昨年6~12月、他人の携帯電話番号と「ショートメッセージサービス(SMS)」で届く認証コードを何者かに伝え、ハチペイのアカウント12件を不正に取得させた疑い。逮捕は4日。
男は、他人の携帯電話番号とひも付いた通信用SIMカードを1000枚以上持ち、中国人グループにハチペイの利用登録に必要な情報をSNSで伝えていたという。調べに対し、「500件以上の認証を代行し、1件あたり500~1000円の報酬を受け取っていた」と供述している。
ハチペイはポイント還元率が高く、警視庁は、中国人グループが他人名義のクレジットカード情報でハチペイに入金し、不正利用していたとみている。
高台削って造成した団地、23世帯中入居したのは2世帯だけ…集団移転事業は1戸6億円超のケースも
[東日本大震災14年 復興の実相]<2>
「集落がバラバラになるぐらいなら、元の場所に再建したかった」
宮城県石巻市の牡鹿半島の山腹にある「佐須団地」へ移って8年となる漁師の須田正太郎さん(73)は悔やんだ。眼下の海岸沿いに60年近く暮らしていたが、集落ごと津波にのまれ、妻(73)とともに高台での再建を余儀なくされた。
佐須団地は防災集団移転促進事業を活用し高台の山林を削って造成。事業は2012年に始まり、同じ集落の23世帯が移転を希望していたものの、硬い岩盤で工事が難航した。時間を要したことで別の場所に土地を見つけたり、高齢を理由に再建自体をあきらめたりする住民もいて、17年の完成時に入居したのは須田さんら2世帯だけだった。
宮城県は当初、リアス式海岸に点在する集落や漁港を、新たに団地を造成して集約しようと計画した。将来の人口減少も見据えた選択だったが、廃港や漁業権の問題、集落間の関係が複雑に絡んだ。住民や水産関係者から「漁港と漁村は一体だ」「あの集落とは一緒になれない」といった強い反発を受けた。
当時県土木部次長として事業を主導した元副知事の遠藤信哉さん(68)は「将来的に行政サービスを落とさない唯一の手段が集約だと考えたが、想定以上の拒否反応だった」と振り返る。
県全体で59団地を見込んだが計画を変更し、多くの要求をのんで漁港ごとに団地を造成することを決めた。結果として3倍超の192団地に膨れ、計4794戸を整備した。
県が全額国費による整備を要望すると、国も容認した。対象となった自治体の元幹部は「少しでも負担を求められたら、あれだけの事業はできなかった」と言う。自らの懐が痛まないことが、大規模造成に走らせたことは否めない。遠藤さんは「集落ごとに形態や文化が異なるのを読み切れなかった。住民と話し合う時間も不足していた」と語る。
読売新聞が、防災集団移転促進事業で民間宅地を整備した岩手、宮城、福島3県全25市町村の計328団地を調べたところ、7686戸が造成され、総事業費は2825億円に上った。1団地あたりの工期は平均32か月、1戸あたりの事業費は平均3675万円だった。福島、岩手と比較し、地形的事情から山を切り開く大規模造成が多い宮城は工期が40か月、事業費が4028万円と膨張している。1戸あたり6億3532万円をかけたケースもある。
佐須団地では1戸あたり1億8701万円を費やした。7世帯が入居し、被災者以外にも販売されているが、4戸分の区画が空いたまま。高齢者が大半の集落で、買い物に行く市街地までは車で7、8分。いつまで運転ができるか不安を抱えていた須田さんは「巨額を投じ、限界集落をつくったようなもの」と嘆いた。
須田さんは2日、病気で亡くなった。妻によると、一変した古里の光景に寂しさを感じていたという。
◆防災集団移転促進事業=被災者らを高台、内陸部へ5戸以上などを要件に集団移転させる事業。自治体が自宅跡地を買い取り、津波浸水域などの居住を制限する。岩手、宮城、福島3県で約3万7000戸が、新たに造成された団地や災害公営住宅などに移転した。