「骨太の方針」めぐり不満噴出 「財務省が姑息な手段で方針ゆがめようとした…油断も隙もない」 積極財政派・西田昌司参院議員が激白

自民党内で、財務省への不満が噴出している。7日に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」をめぐり、党内議論で「積極財政派」と「財政再建派」が対立していたが、財務省が巧妙な仕掛けを忍ばせていたのだ。積極財政を掲げる「財政政策検討本部」の本部長を務める西田昌司参院議員が激白した。

「財務省が『姑息な手段』で方針をゆがめようとした」「最終段階で『骨太方針2021に基づき経済・財政一体改革を着実に推進する』という一文が加わったことが混乱の原因だ」
西田氏は語った。
日本を取り巻く安全保障環境や経済情勢の激変を受け、骨太の方針では「2025年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)黒字化目標を堅持」という文言を、従来通りに明記するかが焦点だった。
岸田文雄首相直轄で、麻生太郎副総裁が最高顧問を務める「財政健全化推進本部」側は、目標堅持を主張。高市早苗政調会長直轄で、安倍晋三元首相が最高顧問の「財政政策検討本部」側は、記述阻止を主張した。
安倍、麻生両氏は、推進本部本部長の額賀福志郎氏や、検討本部本部長の西田氏を交えて調整を重ね、目標堅持は盛り込まない方向だった。
ところが、最終段階で、西田氏が指摘した一文が追加された。事実上、黒字化目標堅持を継続し、当初予算が抑制されるため、自民党政調全体会議は紛糾した。
西田氏は「『姑息』というのは、新たな一文が文案の最後に、何事もなかったように加えられていたことだ。これが財務省のやり方で、油断も隙もない。PB黒字化に固執すれば岸田首相が掲げる『新しい資本主義』はもちろん、喫緊の課題である防衛力強化など長期的視野に立った重要政策の当初予算を柔軟に実行できない」と語る。
結局、問題の一文は削除されず、代わりに「ただし、重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない」という文言が併記された。
西田氏は「財務省は民間経済への視点を著しく欠き、深い考えもなくPB黒字化に固執している。政治や国民を下に見て日本経済を停滞させ、デフレを招く根源は、息の根を止めないといけない」と語った。