ベテラン教師が不合格になる採用試験の大疑問 「年齢構成の平準化」という理不尽なバイアス

公立学校では非正規雇用の教員が増え続けている。その数は全国の公立学校で5~6人に1人に上る。教師という職業に、いったい何が起きているのか。 特集「『非正規化』する教師」の第5回は、ブラックボックス化された教員採用試験の裏側に迫る。(過去の記事はこちら) 「自分としても何が悪くて落ちているのかわかりません。その疑問は、10年以上にわたってずっと持ち続けています」 そう話すのは中部地方の高校で非正規教員として働く武田晴久さん(仮名、第4回参照)だ。「採用試験の論文と面接は、どの自治体も評価の観点を示しています。でも、どれも極めて抽象的」(武田さん)というように、採用試験の評価規準に対して疑問を持つ人は少なくない。 実際に、学校では正規教員と同等以上の働きを見せている人が、試験で落ち続けているケースは多い。中には、「担任を何年も務め上げてきた自分が、不合格の烙印を押されるのは耐えられない」として、採用試験を受けずに非正規教員を続ける人さえいる。 試験は「公正」「公平」なのか 武田さんも、首都圏の公立小学校に勤める川島和希さん(仮名、第1回参照)も、過去数年は2次試験、面接や論文や模擬授業など、現場の知識やスキルが生かせる試験科目で落とされている。キャリアを考えれば大学生に劣るはずがなく、ごく普通に通過してもおかしくない。 何かしらのバイアスが働いているのではないか――。そう勘ぐるのは筆者だけではないだろう。はたして、教員採用試験は「公正」「公平」なシステムの下で、合格者を決めているのか。この点を掘り下げていくと、公立学校教員の採用システムが「ブラックボックス化」されている実態が浮かび上がる。 公立学校の非正規率は、過去10年以上にわたり上がり続けてきた。その要因について、教員の需要・採用数などを長年研究してきた兵庫大学高等教育研究センターの山崎博敏教授は「各自治体が年齢構成の平準化を図った可能性がある」と指摘する。 「1970年代後半から80年代前半にかけて、日本は第2次ベビーブームの到来で、教員の大量採用が行われました。その結果、いわゆる『団塊世代』の教員は他の年代に比べて多く、年齢的な不均衡が生じました。そして2010年頃からはこの世代の大量退職が始まりましたが、生じた欠員をすべて正規で補充すると、再び年齢的な不均衡が生じます。そのため、どの自治体も一定割合を非正規で雇い、年齢構成の平準化を図ったと考えられます」 年齢的な偏りが解消

公立学校では非正規雇用の教員が増え続けている。その数は全国の公立学校で5~6人に1人に上る。教師という職業に、いったい何が起きているのか。
特集「『非正規化』する教師」の第5回は、ブラックボックス化された教員採用試験の裏側に迫る。(過去の記事はこちら)
「自分としても何が悪くて落ちているのかわかりません。その疑問は、10年以上にわたってずっと持ち続けています」
そう話すのは中部地方の高校で非正規教員として働く武田晴久さん(仮名、第4回参照)だ。「採用試験の論文と面接は、どの自治体も評価の観点を示しています。でも、どれも極めて抽象的」(武田さん)というように、採用試験の評価規準に対して疑問を持つ人は少なくない。
実際に、学校では正規教員と同等以上の働きを見せている人が、試験で落ち続けているケースは多い。中には、「担任を何年も務め上げてきた自分が、不合格の烙印を押されるのは耐えられない」として、採用試験を受けずに非正規教員を続ける人さえいる。
試験は「公正」「公平」なのか
武田さんも、首都圏の公立小学校に勤める川島和希さん(仮名、第1回参照)も、過去数年は2次試験、面接や論文や模擬授業など、現場の知識やスキルが生かせる試験科目で落とされている。キャリアを考えれば大学生に劣るはずがなく、ごく普通に通過してもおかしくない。
何かしらのバイアスが働いているのではないか――。そう勘ぐるのは筆者だけではないだろう。はたして、教員採用試験は「公正」「公平」なシステムの下で、合格者を決めているのか。この点を掘り下げていくと、公立学校教員の採用システムが「ブラックボックス化」されている実態が浮かび上がる。
公立学校の非正規率は、過去10年以上にわたり上がり続けてきた。その要因について、教員の需要・採用数などを長年研究してきた兵庫大学高等教育研究センターの山崎博敏教授は「各自治体が年齢構成の平準化を図った可能性がある」と指摘する。
「1970年代後半から80年代前半にかけて、日本は第2次ベビーブームの到来で、教員の大量採用が行われました。その結果、いわゆる『団塊世代』の教員は他の年代に比べて多く、年齢的な不均衡が生じました。そして2010年頃からはこの世代の大量退職が始まりましたが、生じた欠員をすべて正規で補充すると、再び年齢的な不均衡が生じます。そのため、どの自治体も一定割合を非正規で雇い、年齢構成の平準化を図ったと考えられます」
年齢的な偏りが解消