新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、お盆の帰省ラッシュは11日、ピークとなった。コロナ禍で3度目となる今夏は、感染防止と社会経済活動を両立させる「ウィズコロナ」が模索されており、帰省客や行楽客は感染対策を講じながら目的地へと向かった。
東京駅近くのコロナ臨時検査場では11日、3年ぶりに兵庫県の実家に帰省するという東京都台東区の会社員男性(43)が家族4人で検査を受けた。いずれも陰性という結果に「父親が胃がんの手術を受けていたので、安心して向かいたかった」と笑顔を見せた。
政府はお盆期間を挟んだ5~18日に全国の主要駅や空港など117か所に無料の臨時検査場を設置。うち都内の6か所では、9日までの5日間で約1万7000人が検査を受けた。
この日は、各地で晴天に恵まれ、愛知県南知多町の内海海水浴場では、家族連れや若者たちでにぎわった。内海観光協会によると、海水浴場には約4000人が訪れたといい、カラフルなビーチパラソルが並んだ。
名古屋市内から家族4人で訪れた男性会社員は「子供たちは砂遊びをしたり、海に入ったりと、夏を楽しんでいた」と話した。
気象庁によると、東海3県では、愛知県豊田市で36度を記録したほか、岐阜市35・1度、名古屋市34・5度、津市32・3度だった。
JR各社によると、11日の新幹線の自由席乗車率は午前6時の東京発博多行き東海道新幹線「のぞみ1号」で140%に達したほか、午前8時44分の東京発金沢行き北陸新幹線「はくたか555号」で130%となり、コロナ前と同程度の混雑ぶりとなった。
空の便では、11日のANAグループの国内線旅客数が15万人超と、コロナ前の9割まで回復し、コロナ禍では1日あたり最多の旅客数となった。同グループの全日本空輸は「しっかり感染対策をしながら旅を楽しむウィズコロナの新しい旅のスタイルが定着してきている」とみている。