愛知県安城市役所の職員が生活保護を申請しようとした日系ブラジル人の女性(41)に「外国人に生活保護費は出ない」と虚偽の説明をした問題で、女性は27日、県弁護士会に人権救済を申し立てた。弁護士会が、調査が必要と判断すれば、人権侵害にあたる行為があったかを調べる。
申立書によると、女性は約10年前に来日し、定住者の在留資格を持つ。夫が新型コロナウイルス禍などで失職。1歳と小学生の子どもを抱えて生活に困窮し、11月1日に市役所を訪れた。その際、窓口で対応した職員に「外国人に生活保護費は出ない」と虚偽の説明をされたほか、「国に帰ればいい」と差別的発言を受けた。その後、支援者らが同行したが、繰り返し生活保護の申請を拒まれた。
担当職員は11月末に申請が受理された後も、生活保護費を滞納していた県営住宅の家賃支払いに充てるよう求めた。また、子育て支援担当の職員から「子ども2人を児童相談所に保護してもらえば、食いぶちが減っていい」などの発言があったとしている。
女性の代理人弁護士は取材に、「市のこうした対応が常態化している可能性もあり、徹底的に調査してほしい」と語った。
市長「行き違いが生じた」と謝罪
一方、安城市の神谷学市長らが27日に記者会見し、「意図が十分に伝わらず、行き違いが生じた。女性に精神的な負担をかけ、深くおわびしたい」と謝罪した。通訳サービスを充実するなどして、外国人への対応を改善させるとした。
外国人への生活保護費の支給を巡っては、2018年12月に安倍晋三内閣が、永住者や定住者などの在留資格を持つ外国人も「生活保護法による保護に準じた保護の対象となる」との答弁書を閣議決定している。【藤顕一郎】