国家公務員宿舎を13年ぶり新設へ、若手職員向け不足…政府方針

政府は、新たな国家公務員宿舎を東京都内に建設する方針を固めた。新設は約13年ぶりとなる。これまで東日本大震災の復興財源を捻出するために宿舎の削減・跡地売却を進め、新規建設は抑制してきたが、都心で勤務する若手職員向けの宿舎不足や老朽化対策から判断した。
新たな宿舎は14階建ての446戸で、整備費用は約90億円。葛飾区の東京拘置所西隣にある刑務官向け宿舎を取り壊し、空いた敷地の一部を活用する。国会対応や法案作成の業務に従事し、深夜・早朝勤務が多い職員らが入居する。
2029年度の入居開始を見込む。首都圏の老朽化した宿舎を取り壊して土地の売却益を建設費に充て、新たな国民負担が生じないよう工夫する。
政府は震災後の11年12月、国家公務員宿舎の削減計画を策定。09年の約21・8万戸から16年度末までに約5・6万戸を減らした。跡地の売却などで約2900億円の収入が得られ、大半を震災の復興財源に充てた。
一方で、新設を抑えたため、東京23区内では約6100戸が不足。築50年を経過した老朽宿舎も全体の約1割に達しているという。新設は、自衛官や刑務官など勤務地の近くに居住地が制限される公務員向けの宿舎を除くと、16年に品川区内で完成して以来となる。
財務省が設置した有識者会議は21年に公表した報告書で、若手職員を中心とした独身者、単身赴任者や、災害やテロ対応にあたる緊急参集要員向けの宿舎を優先的に整備すべきだと提言している。