工藤会幹部に無期懲役判決 建設会社会長射殺など関与 福岡地裁

2011年に北九州市小倉北区であった建設会社会長射殺など4事件に関与したとして、殺人罪などに問われた特定危険指定暴力団「工藤会」幹部、瓜田太被告(60)に対し、福岡地裁は10日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。神原浩裁判長は「反社会的な価値観と論理に基づき、意に沿わない者を組織を挙げて抹殺するという、およそ許容される余地のない犯行だ」などと指弾した。
判決によると、瓜田被告は、小倉北区の路上で11年11月に建設会社会長(当時72歳)を射殺した事件に加え、▽暴力団追放運動に取り組んでいた小倉南区自治総連合会長宅への銃撃事件(10年)▽小倉北区で大手ゼネコン「清水建設」社員を銃撃し負傷させた事件(11年)▽福岡市で看護師を刺し重傷を負わせた事件(13年)――で、配下の組員にバイクを用意させたり、実行役を逃走させるよう指示したりした。瓜田被告は13年当時、工藤会の理事長補佐だった。
公判で瓜田被告は無罪を主張したが、判決は組員らの供述などから瓜田被告を「指示役」と認定。4事件全てを工藤会系組員が組織的に実行したとした上で「建設会社会長射殺事件への関与のみでも無期懲役を選択するに値する。自身に犯行動機があったわけではないことを考慮しても刑事責任の重大さは揺らがない」とした。
福岡地裁は、会長射殺事件以外の3事件に関与したとして、組織犯罪処罰法違反(組織的殺人未遂)などに問われた工藤会系組幹部の今田隆史被告(47)に対しても、懲役14年(求刑・懲役16年)の判決を言い渡した。