秋田市内の空き地で性別不明の遺体が見つかった死体遺棄事件で、警視庁捜査1課は11日、遺体の身元は愛知県一宮市の加藤しのぶさん(行方不明時48歳)と判明したと発表した。加藤さんは2021年6月末から行方不明となっていた。警視庁は死因の特定を急ぐとともに、空き地の実質的所有者で、加藤さんが失踪直前に会っていたとされる男性(48)らが遺棄に関与した可能性があるとみて調べている。
捜査関係者によると、身元は歯の鑑定で確認された。目立った外傷はなく、死後1~2年程度と推定されるという。ただ、一連の捜査でこの空き地に埋められた時期は21年9月ごろとみられており、行方が分からなくなってから数カ月以内に死亡した可能性がある。
加藤さんは接客業をしており、さいたま市内の勤務先の寮に荷物を置いたまま6月末に失踪していた。翌7月、親族が警視庁小金井署に行方不明者届を出した。
その後の捜査で、加藤さんは埼玉県内で男性に会って以降、足取りが分からなくなったことが判明。男性は遺体が見つかった空き地の実質的所有者で、現在は覚醒剤取締法違反で服役している。
警視庁は男性の知人からの証言に基づいて空き地を捜索。9日に発見された遺体は、服を着たまま膝を折り曲げた状態で箱に入れられ、コンクリート詰めにされた状態だった。
この知人は、遺体が空き地に遺棄される前、埼玉県内のコンテナに一時保管されていたという趣旨の証言をしていることも、捜査関係者への取材で判明した。コンテナは男性と接点のある人物の名義で借りられていたという。
警視庁捜査1課は、男性が加藤さんの死亡経緯を知っているとみて詳しく事情を聴くとともに、遺体を遺棄するために空き地を購入した疑いもあるとみている。【木原真希、岩崎歩、菅健吾】