秋田県で続いた大雨で中心市街地が広範囲に冠水した秋田市は18日、被災者が住宅保険や公的支援を受ける際に必要な罹災(りさい)証明の申請受け付けを始めた。ところが、「申請は現場写真をそろえて窓口で受け付け」と告知し、避難したり住居を片付けたりで疲れ切り、車も水没して動かない被災者を苦しめている。担当者は告知内容を変更し、対応も柔軟にするという。
車水没して動かず友人の車で窓口に
秋田市はこの日、被災地域に近い秋田駅東サービスセンターなど2支所と、本庁舎の計3カ所で罹災証明書の申請受け付けを始めるとホームページなどで告知。被災場所の写真または画像を持参するよう求めた。
これを知った市民らが各窓口に詰めかけ、本庁舎の臨時窓口には午後3時現在で200人以上が訪れ、順番待ちの長い列を作った。
秋田駅東側の東通の自宅が床上浸水した60代女性は長い列に並びながら「車も水没して動かないが、罹災証明はいろいろ必要になるので、早い方がいいと思い、わざわざ隣の潟上市から友人に車で迎えにきてもらってきた。もう1時間近く待っている」と疲れた表情を見せる。
女性は「近くに住む娘も車が動かない。せめて待っている間に申請書に記入しようとしたら『受付カウンターで』という。要領が悪すぎる。被災して家が大変な状態で、心身ともヘトヘトなのに、なぜ罹災証明申請一つがこんなに大変なのか」と憤りを隠さない。
同駅南側の楢山で自宅が膝上まで浸水した50代女性は「私の車は水没して動かない。いろいろ必要になる罹災証明の申請は『窓口で』というので、単身赴任先の仙台から急きょ帰った主人の車に乗せてきてもらった。家の中は水が引いても泥だらけでまだまだ大変なのに…」と話す。
市は「柔軟に対応する」と陳謝
秋田市の告知では「申請書をダウンロードして印刷できる方は記入し、窓口で申請するか郵送を」とし、「印刷できない方は申請書を郵送するので、記入して窓口で申請するか郵送を」としている。
しかし、大小さまざまな水害が起きている東京都では、例えば杉並区は浸水したことを区に電話で伝えると、担当職員が訪問して浸水場所を確認、撮影する。職員は罹災証明の要否をたずね、必要な場合は持参した申請書に被災者に署名してもらうだけで、後日、罹災証明を届けたり郵送したりする。該当する場合は見舞金も届ける。
申請の列に加わった20代女性は「東通の自宅が浸水した。もともと車はないが、幼い2人の子を連れて無事だった市役所近くの実家に避難した。初めての経験なので窓口にくるのが当たり前なのかと思ったが、そうではないとは…」と意外そうな表情を見せた。
これだけの手間をかけて罹災証明の申請をしても、基本的には後日改めて市の担当職員が被災者宅を訪問し、現場の確認と撮影を行ったうえで証明書を郵送することになる。
罹災証明を担当する同市資産税課の三沢直人課長は「現場画像はスマホなどのモニター画面を確認できればいいが、お年寄りなどスマホやデジカメががない方は現場画像がなくても、後日の調査時に撮影するからだいじょうぶ。窓口までこられない方や、被災状況によって申請書の返送も難しい方は電話連絡だけで職員が調査にうかがうようにしている」と説明する。
そのうえで「告知が『窓口で申請受け付け』を強調した表記だったのは大変申し訳ない。柔軟に対応する表記に変更する」と話している。