ETC障害、後払い申告は2万4000件 前週の通行実績96万台と大きな差

約38時間にわたり高速道路の自動料金収受システム(ETC)で大規模な障害が発生した問題では、前週の同じ時間帯の通行台数が約96万台に上っており、通行料金の「後払い」もこの数に近くなる可能性がある。
中日本高速道路(NEXCO中日本)は利用者の自己申告としているが、復旧から32時間後時点の後払いの届け出は延べ約2万4000件で、通行台数の実績との比較では2・5%にとどまる。利用区間の特定や未払い者への対応など、NEXCO中日本の課題は山積している。
大規模障害は6日午前0時半ごろに発生。東京、神奈川、山梨、静岡、愛知、岐阜、三重、長野の計8都県にある東名高速道路や中央自動車道など17路線、計106カ所の料金所やスマートインターチェンジでETCが利用できなくなった。
7日午後2時に応急復旧作業を終えたが、障害は約38時間におよび、ETCレーンのバーを開放し、通行料金は後払いとする異例の措置を取った。
NEXCO中日本によると1週間前の3月30~31日の約38時間で、今回障害が起きたETC料金所を通過した車は約96万台だったという。通常であれば、同じくらいの台数が通行していたとみられる。
障害が発生した4月6日、入り口で通行券を発行して出口で料金を支払ったり、通常通りにETCレーンで通信ができたりした利用者もいたとされ、NEXCO中日本は後払いの対象者について「集計中」としている。
後払いは専用ウェブサイトで利用者が自己申告する形を取っており、復旧から32時間後の8日午後10時時点での届け出は延べ約2万4000件だった。
入り口はETCレーンが正常に通信できていた場所もあり、出口では障害発生から半日後に全てのバーを開放していた。NEXCO中日本の担当者も「どこの出口で降りたかは自己申告していただくしかない」と打ち明ける。利用区間の特定作業は難航するとみられ、料金徴収での公平性の担保も課題となる。
NEXCO中日本はホームページで、高速道路の通行料金について「JRなどの特急料金のように所要時間の保証といった性格を含んでいない」とし、減額や免除はしないと告知している。ただ、今回の大規模障害での支払期限や未納者への対応は「検討中」としている。
縄田正社長は9日、記者会見で「何が起きているのか分からないまま、各料金所を中心に順次対応していったため判断が遅くなった」として、利用者に謝罪。広域的なETCのシステム障害を想定したマニュアルの未整備が被害拡大の一因になったとの見方を示し、原因の解明や再発防止策の構築を進めるとした。【塚本紘平】