8日に結論の臨時総裁選、自民党と石破首相は大きな岐路に…「実施」賛同広がるもなお様子見多く

自民党の臨時総裁選の実施を巡る結論が出る8日、石破首相(党総裁)と自民党は大きな岐路に立たされる。党内では、首相への事実上の退陣勧告となる総裁選前倒しを求める動きが広がっており、党所属国会議員と都道府県連代表の計342人の要求が必要な過半数(172人)に届くかどうかが最大の焦点だ。(佐藤竜一、長谷部駿)

「いろいろな情報が飛び交っているので、情報交換して認識を深めた」
賛成する意向の尾崎正直衆院議員は5日、衆院当選2回の議員約10人による会合に参加後、記者団にこう語った。ほぼ同時刻に、当選5回の議員らも会合を開き、賛成する人数の「票読み」などを行い、「過半数に到達しそうだ」との認識を共有した。
5日夜には、賛成を明言している麻生太郎最高顧問と、茂木敏充・前幹事長が東京都内で会食し、意見を交わした。
一方、依然、参院を中心に様子見を続ける議員や、内心は賛成だが要求するのは避けたいといった議員も多く、情勢を不透明にしている。

臨時総裁選は党則6条4項に基づくもので、党所属の衆参両院議員と都道府県連代表の合計の過半数の要求があれば実施される。要求議員は8日午前10時から午後3時の間に署名・押印した書面を党本部に持参する必要があり、都道府県連は機関決定した上で同様に書面を送る。結果は同日中に集計・公表される予定だ。
臨時総裁選が実施されることになれば、首相が出馬を目指すかどうかが注目される。党則上は可能で、勝利すれば続投の機会を得ることになる。
ただ、出馬へのハードルは高い。2015年に結成した旧石破派は解散し、昨年の総裁選で苦労して集めた推薦人20人のうち、6人が落選などで議員でなくなっている。推薦人を確保できても、首相への反発が広がっている党内情勢を踏まえれば、「勝機は低い」との見方がもっぱらだ。

総裁選への要求が過半数に届かなければ、実施されず、首相が当面、続投する展開になりそうだ。首相は2日の両院議員総会後、記者団に進退判断を巡り「しかるべき時期に責任を判断する」と語ったが、「具体的な時期は定まっていない」(周辺)と見る向きが多い。
とはいえ、首相が続投を決めても、党内の亀裂は深く、政権運営が一層困難になるのは明らかだ。進退伺の提出などで辞意を表明した森山幹事長ら党四役の後任人事の難航が予想され、衆参で少数与党となった苦境を脱する道筋は見えていない。党幹部は「石破首相のままでは政権も、自民も立ち行かなくなるのは目に見えている」と指摘する。