茨城県阿見町の自宅で20年、冷凍庫に長女の遺体を隠したとして死体遺棄罪に問われた同町の女(75)の初公判が4日、水戸地裁土浦支部であった。女は起訴事実を認めたが、長女を殺害したのは夫だったとし、「娘にすまないと毎日思っていた」と明かした。検察側は拘禁刑1年を求刑。弁護側は執行猶予付きの判決を求め、即日結審した。事件の背景には、家庭内の問題があったとみられる。判決は18日。(古屋敷周)
夫や義母から「絶対に言うな」「自首したら首をくくって死んでやる」
検察側の冒頭陳述によると、女は2005年7月16日頃、パートの仕事を終え帰宅すると、自宅の居間で死亡している長女を発見。同居する夫から「長女を殺した」と言われ、遺体を2階の押し入れに隠したとしている。数日後に夫と冷凍庫を購入し、遺体と、臭いを消すためにシソの葉を入れた日以降、冷凍庫が壊れていないかの確認を毎週、欠かさなかったという。
今年9月19日に夫が死亡。長男と遺産相続について話し合いをする際、長男に長女の所在を問い詰められ、事実を告白。同月23日に警察署に出頭した。
被告人質問で女は証言台の前に座り、時折すすり泣きながら、長女への謝罪の言葉を繰り返した。何度も自首することを考えたが、夫から「絶対に言うな」、同居していた義母から「(自首したら)首をくくって死んでやる」と言われて誰にも打ち明けられなかったとした。20年間、冷凍庫は一度も開けたことがなく、夫と毎日、お供えをしていたという。
検察側は論告で、殺害が発覚することを恐れたという死体遺棄の犯行の動機は「極めて身勝手かつ無責任」だったと非難し、実刑判決が相当だとした。弁護側は「被告は十分すぎるほど反省し、同情する余地もある」と主張。再犯の可能性は全くないとして、執行猶予付きの判決を求めた。
取材に応じた被告の弁護人によると当時、家庭内では金銭トラブルがあったとみられるという。