突然の大阪ダブル選、維新内「蜂の巣つついたような騒ぎ」…3度目の都構想挑戦に「なぜ今」

「大阪都構想」への3度目の挑戦に道筋をつけるとして、大阪府の吉村洋文知事(日本維新の会代表)と大阪市の横山英幸市長(維新副代表)が15日、辞職して出直しダブル選に臨む考えを明らかにした。ただ、衆院選に乗じてトップダウンで突如下された判断には、党内からも批判が相次いだ。
「大阪都構想に挑戦することが、大阪の未来のためにも、成長のためにも必要だ」。吉村氏は15日夜に開かれた地域政党・大阪維新の会の全体会議後、記者会見でそう強調した。
都構想は2010年に橋下徹・府知事(当時)が提唱し、地域政党・大阪維新の会を旗揚げした。翌11年の市議選で初当選して政治家としてのキャリアを歩み出した吉村氏にとって、都構想は「原点」と言える政策だ。
20年に2度目の住民投票で否決されてからしばらくは表立って意欲を見せることはなかったが、24年11月の大阪維新の会の代表選で都構想の新たな制度案づくりを掲げて再選。当時から、3度目の挑戦には「民主的なプロセスが必要」と語り、選挙で信を問う機会をうかがってきた。
そこに降ってわいた衆院選。吉村氏は記者会見で「万博が成功し、都構想への思いが強くなった。(衆院の)解散で信を問うタイミングがあれば、3度目の挑戦を公約に掲げて出直し選をやろうと考えていた」と説明した。
維新は過去にも、都構想の議論を前に進めるため、選挙で民意を問うという手法を繰り返してきた。
14年には当時大阪市長だった橋下氏が、都構想の制度案を協議する法定協議会での議論停滞を受けて出直し選に踏み切り、再選された。19年には松井一郎知事(当時)が任期途中で辞職して市長選に、市長だった吉村氏が知事選に「入れ替え出馬」する異例のダブル選を仕掛け、翌20年の2度目の住民投票につなげた。
ただ、今月13日に吉村氏と横山氏がダブル選を検討していることが明らかになった際、事前に聞いていた議員はほとんどおらず、党内は「蜂の巣をつついたような騒ぎ」(大阪市議)になったという。
15日夜の全体会議に出席した議員によると、吉村、横山両氏はダブル選への理解を求めたが、所属議員からは「今ではない」などの声が相次ぎ、会議は予定時間の30分を大幅に上回る約1時間半に及んだ。
会議に先立って開かれた役員会では、大阪市議団から、「(27年春の)統一地方選で都構想を公約として掲げ、民意を確認した上で挑むべきだ」とする決議書が提出されたという。
吉村氏は記者会見で「粘り強く合意形成していきたい」と語ったが、ある府議は「(橋下、松井両氏がいた頃は)松井氏が腹を割って話し、意見も聞いてくれたが、吉村、横山両氏は事前の根回しがない。こんな状況で党がまとまるのは厳しいのではないか」と話した。
トリプル選なら知事選22日、市長選は25日告示か
衆院選と、大阪府知事・大阪市長の出直しダブル選の投開票日をそろえる「トリプル選」にするためには、タイトな日程が想定される。
選挙期間は衆院選(12日間)に比べ、知事選(17日間)や政令市長選(14日間)の方が長い。衆院選が「1月27日公示―2月8日投開票」の日程で行われる場合、知事選は1月22日告示、大阪市長選は同25日告示となる。
吉村、横山両氏が15日に辞職を表明してから選挙まで知事選は1週間、市長選は10日間しかない。この間に選挙管理委員会は日程を決定し、選挙ポスターの掲示板の発注・設置などの準備に追われることになる。
大阪市選管によると、2023年の市長選では市内約2800か所に掲示板を設置した。担当者は「全ての掲示板の設置が告示日までに間に合わない可能性もある」と話した。
自立公は独自候補擁立見送りへ
自民、立憲民主、公明の3党は、ダブル選への独自候補擁立を見送る見通しだ。
自民府連の松川るい会長(参院議員)は15日夜、読売新聞の取材に、府連として擁立は見送ると明言。「突然辞職して『都構想の民意を問う』といっても事実上、準備期間がなく、独り相撲だ。正当性がない選挙にお付き合いすることはない」と話した。
立民府連の森山浩行代表(衆院議員)も擁立しない考えを示し、「大阪都構想の民意を問う前に副首都法案をまとめるのが筋で、プロセスが間違っている。耳目を集めるための選挙だ」と強調。公明の土岐恭生・府本部幹事長(大阪市議)も「物価高対策に力を入れるべき時に、市民が置き去りになっている」と批判した。
国民民主、共産、参政の各党は取材に対し、「対応を検討中」としている。